第12話 CD、写真集、イメージV発売や動画投稿サイトへのPVアップロード

 6月下旬、ピンキーダイナマイトは、以前録音・撮影したCDやライブDVD、写真集、イメージVの編集作業に追われていた。CDやライブDVDはCD‐RやDVD‐Rに自分たちで焼いてパッケージした手作りの物を。写真集は撮り溜めていた物の中からメンバー一人一人が厳選した物を50ページにまとめ上げ制作した。イメージVは全員の物を一つにまとめ上げ、一時間に映像動画編集でまとめ上げた。メンバーとの話し合いの結果メイキング映像をおまけで付けることにした。それらをHP上に貼り付け、WEB販売ができる体制を整えていった。BBSではすでにCD、ライブDVD、写真集、イメージVの事に関して多くの書き込みが観られ、発売を楽しみにしているFUEL達が多数観られた。新たにイベント情報の告知やSNSでのブログやつぶやきなどを併設したのだった。


 明日香「皆集まりなさい」

 奈緒「出来そう?予約注文は来てる?」

 沙也香「来てるみたいだよ。CD、ライブDVDは2000件、写真集は2500件も来てるよ。イメージVは3000件に達しそうだよ」

 友子「あたし10000件ぐらい行くと思う」

 まゆみ「さすがにそれは無理でしょうけど」

 ささもっちゃん「物販での手売りも合わせたら5000冊5000枚はいけると思いますぅ」


 メンバー達はHPに掲載したCD、ライブDVD、写真集、イメージV、グッズ等の予約注文状況を見ていた。2000件~3000件の注文数に喜びを感じていた。


 明日香「商品の発売は7月15日ウェブでも発売するわ。私が注文数に応じて必要な冊数や枚数を用意するわ」

 沙也香「私達はどうすればいい?」

 まゆみ「何かお手伝い出来る事ありませんか?」

 奈緒「私達は水着で物販でアピールするよ」 

 ささもっちゃん「私は絶対嫌ですぅ。恥ずかしいです」

 友子「あたし別にいいけど」

 明日香「そんなの駄目に決まってるでしょ」


 奈緒は手売りで売る商品を持って行きPRする為、大型セルレンタルビデオ店やCDショップを回った。


 奈緒「すいません。店長ですか?」

 水口「はい、店長の水口ですが、あっ、もしかしてピンキーダイナマイトの奈緒ちゃん?」

 奈緒「はい、申し遅れました。私が高知県下にセルライト大好きなサキュバスと名を轟かせる村上奈緒で~す」

 水口「うぉぉぉぉ!やはりそうだったんだね」

 奈緒「今日はCDや第1回路上ライブの模様を収めたライブDVD、撮り下ろしの写真集にイメージV、グッズを持って来ました。お電話で話させて貰いましたように置いて頂けるんでしょうか?」

 水口「もちろんだよ。僕も欲しいと思ってネットでHPを貼りついて観ていたんだよ。これは売れる。売れますぞい」

 奈緒「有難う御座います」


 そういうと店長の水口は特設コーナーに奈緒を連れて行くのだった。そこは、人目に付き易いい入口から程近い場所であり、水口の粋な計らいで作られたピンキーダイナマイト専用のコーナーであった。


 奈緒「こんなに広いスペースに置かせて貰えるんですか?嬉しすぎるぅ」

 水口「最近はね本もCDもレンタルのDVDなんかでも売れない時代でね。だから、ウチとしてもピンキーダイナマイトに売り上げで助けて貰いたいと思っているんだよ。持ちつ持たれつだね」

 奈緒「絶対売れる様にPR頑張りますから、宜しくお願いしますね」


 その結果、各店舗に多くののCD、ライブDVD、写真集、イメージV、グッズを置かせて貰う事が出来た。奈緒は水口の配慮やウェブでの反応に自信を覗かせた。それに、地域の人達の暖かさと置いてくれる店の為にも絶対に売れるという決意を新たにした。


 一方で、明日香達はPVの撮影を行っていた。曲は第1回路上ライブで盛り上がった、桃色絨毯爆撃機ピンキーダイナマイトという曲。衣装はライブの時の衣装と自前の私服と制服で撮影したのだった。曲はフェチズムを歌った大人の色気を出す感じの歌詞になっているので此処でもまた苦手分野になっている沙也香が足を引っ張る形になった。


 明日香「違う。そうじゃないの。もっと欲しがってる表情してよ沙也香」

 沙也香「欲しがってるって何を」

 ささもっちゃん「男の子の固い物とか♪」

 まゆみ「男の子の固い物って……。恥ずかしいよぉ、ささもっちゃん」

 友子「男の子の固い物って言うと拳」

 奈緒「ホントは分かってるな己は?ぐりぐり」

 友子「止めてください。正解は素敵なステッキです。伸び縮みするんですよぉ」

 沙也香「欲しがりますよ。欲しがればいいんでしょ」


 逆ギレをする沙也香に奈緒は離れた位置から、男の生体について書いた真面目な本を見せつけて近づいて来た。


 沙也香「何それ恥ずかしい、奈緒ちゃん止めてぇ。そんなの弟のしか見た事ないよ」

 明日香「はい、カット。その表情でいいのよ。時間が掛かるわね、あんたは」

 沙也香「御免ね。恥ずかしいの苦手なんだ」

 奈緒「でも、凄く可愛くなってるよ、ほらPV出来上がったみたいだよ」

 沙也香「ありがとう奈緒ちゃん、もっと精進します」


 PVはこうして完成した。メンバーの可愛らしくも妖艶な魅力が詰まった物となった。そして、明日香はこのPVをHP上にただ貼り付けるだけでなく、動画投稿サイトへUPしようと考えていた。


 明日香「このME TUBEというサイトは世界の動画投稿を載せてるサイトなんだけど、ここに私達の曲のPVも載せてみるわよ」

 ささもっちゃん「うひゃ~楽しみだい」

 友子「あたしのPVもMTVで流れるのだぁ」

 まゆみ「海外のランキングに乗る訳ないでしょ、友子」

 沙也香「再生回数どれだけ行くかなぁ」

 奈緒「私、自分で押しまくろうかな」

 明日香「そんなん駄目よ。正当に評価を受けるわよ」


 完成したPVはその日のうちにアップロードされ、この日は前線基地で解散となった。


 次の日、奈緒が前線基地へやってくるとメンバーが雄たけびを上げていた。


 奈緒「うぃぃぃす。どうしたの、宇宙人が皆UFOにアレルギーを持ってるって知った時みたいな反応は」

 ささもっちゃん「奈緒ちゃん先輩、宇宙人アレルギー説を唱えているんですか?凄い尊敬」

 沙也香「そんな事より凄いんだって。うちらの載せたPVが再生回数、一日で1000万回だよ」

 奈緒「1000万?そんな事になるの?明日香」

 明日香「私も信じられないけど1000万回見られてるって事実だからね」


 メンバーは驚愕するしかなかった。自分たちの掲載したPVが1日経たない間に、1000万回も見られているという事が俄かには信じれなかった。余りの再生回数に驚いたメンバーはコメント欄を見てみる事にした。


 オレンジ野郎 

 凄い!自分たちで此処までやってしまうってこのメンバー才能あり過ぎ。あと、奈緒ちゃんって子は群を抜いて可愛い。俺の嫁にしたい。目指せ再生回数1億回。


 自宅警備員

 PVなどは荒削りだが、全員の表情が妖艶で且つキュートで深夜に見ると堪らなくムズムズする。それと奈緒ちゃんは女神級の女の子。世界に羽ばたくアイドルになると思う。


 ジャキー女子高生DA

 ヤバイ!皆可愛すぎ!!センターの奈緒ちゃんヤバすぎ。絶対全国区のアイドルに成るべき。可愛すぎる。


 コメント欄を見てみると奈緒の事について書かれている事が殆どだった。


 奈緒「私の事が書かれてあるねぇ」

 友子「やっぱり奈緒先輩は何か違うオーラを持っているんだろうな」

 まゆみ「そうだね。うん凄すぎて涙も出ない」

 ささもっちゃん「やっぱり奈緒ちゃん先輩のポテンシャル凄っ!!」

 奈緒「いやぁ~やっぱり胸ですかなぁ~オへへ」

 明日香「なんか奈緒さんって昔から人を引き付けるモノを持ってるわよね、ムカつく」

 沙也香「そうだね。ムカつきもしないけど別次元の人って感じ、芸能人感あり過ぎだよ。羨ましい」

 奈緒「ううん……」


 奈緒は密かにアリスの女だと自覚してはいたが、ここまで影響がでしまう事に今更ながら少し後悔していた。それは、良からぬ事を考える輩にも知られてしまうからであった。自分の将来をあまり考えて来なかった奈緒にとって、この出来事は重大なターニングポイントになっていくが、それはもう少し後の話だ。


 ちょうどその頃、奈緒がPRで回った大手セルレンタルビデオ書店では異様な光景が目撃されていた。店内に並んだ人の列はざっと数えて500人ほどで、店内のある一角に人が集中していた。それは、ピンキーダイナマイトのコーナーであった。行き交う人がCDや写真集などを手に取り、すぐにレジへ並ぶ姿はこの高知県という土地ではあまり見かけない風景であった。


 お客さん1「すいません。ピンキーダイナマイトのCDと写真集あります?」

 水口「申し訳ございません。ピンキーダイナマイトの関連商品は全て売れてしまいまして」

 お客さん2「えっ、もう完売ですか。次回の入荷は何時ぐらいになりそうですか?」

 水口「まだ何とも言えない状況でして、予約という形で宜しければ入荷と同時にお渡しできますが」

 お客さん達「予約しますぅ。宜しくお願いします」


 水口は余りの客の多さに予想していたとはいえ驚きを隠せなかった。本来は売り上げの2割程度しか書店の方には入らないが奈緒の優しさもあって、5割売り上げが書店に入る事になっていた。本日のピンキー関連の売り上げは450万円。半額の225万円が書店に売り上げとして残った。そして2時間後、奈緒がメンバーと連れてやって来た。


 奈緒「水口さ~ん」

 水口「あっ、奈緒ちゃん。メンバーの皆も」

 一同「この度は関連商品を置かせて頂いて有難う御座います」

 水口「いやぁ~僕はねぇ~今日ほど嬉しい日は無いよ。お客さんがこれだけ来てくれたのは開店当初以来じゃないかな」

 明日香「いえいえ、そんな事は」

 沙也香「さっきのお電話の内容だと奈緒ちゃんが置かせて貰ってた分は完売みたいですが」

 水口「そうなんだよね。追加の予約注文も500件ぐらいあるし、もう倒れそうになるぐらい嬉しい」

 ささもっちゃん「水口さんにやにやしてますぅ~」

 水口「今日一日半笑いで仕事してたよ」

 まゆみ「それはイケませんよ。でも気持ちは分かります」

 友子「水口さん売り上げちょうだ~い。全部友子の」

 奈緒「良かったです。水口さん」


 メンバーは追加予約の注文票の数を教えてもらい、この日は書店を後にした。後日、追加予約数+1000ほどをCDショップや書店に持って行った。ウェブの予約数と合わせるとそれぞれのアイテムが1万を超える数に達していた。売り上げは関係各所に配った後、メンバーの今後の活動費用に充てる為に残しておく事となった。











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