第9話 名前と言うのは、世界に対し産声を上げ、その世界に無いまだ見ぬ未来の可能性を掴み取った時に、初めて贈られる大切なギフトです・・・再配布ってしてませんか?(無理難題)

「にゃ、そう言えば君の事はなんて呼べば良いにゃ?一応名前はキョオコから聞いて知ってるけど、君の口から自己紹介してくれると嬉しいにゃ!」


 ってハッ!思えば僕からちゃんと自己紹介してないや。ポチたんからはちゃんと自己紹介して貰ったのに。

 ぐぬぬぅこんな失礼な事をしてしまうとは。もう少しちゃんと礼儀を学ばなきゃいけないのは僕の方だったみたい・・・ごめんね、リーファ。

 ぁ、でもあの幼女よりはマシか(マテ)。

 それは置いといて。まぁでも今からでも遅く無いよね?では自己紹介したいと思います!


「ぇっと、自己紹介が遅れてごめんね?僕の名前はアキk・・・」


「んにゃ。気にしなくて良いのにゃ♪・・・ってどうしたのにゃ??」


 急に口籠った僕を心配そうに眺めるポチたんは可愛いものがありましたが、それよりも、それよりもですよ?

 どうしましょう・・・今自然に『アキクン』って自己紹介しようとした自分が居るのですが・・・何ですこれ呪いかなんかですか?

 前のって言うか本名だった何かを思い出そうとすると、かすみが掛かった感じで思い出せないんだけど・・って待って!本当にナニコレ怖い!?今迄は思い出せたはずなのに。。。


「あ、あのさ、何だか本名が思い出せないんだけど・・・これ何なのか分かるかな?」


 と悲壮感たっぷりにポチたんに聞いてみます。。。ん?さっきから『たん』って何かって?可愛い子に付ける当たり前の敬称だよ??って今はそれどころじゃ無いから後にしてよね!


「んにゃ?ちょっと待っててにゃ・・・ぁあなるほどにゃ。。。分かったにゃよ」


「い、一体どうしたって言うの!?」


 何か怖ろしい事が起きている気がして、気が気じゃない気持ちで・・って『気』が多い!ぁあもうそんな事考えてる場合じゃないはずなのに、嫌な予感を払拭するためにも余計な事ばかり考えて、気を散らしたい自分が居るとです。。。嫌ァ!ヤメテ!!現実を突きつけないで!?



「んとにゃ、この世界に君を召喚した術者の子が居たと思うにゃ。その子が君と従魔契約する時に名前を指定したと思うんにゃけど、間違いにゃいかにゃ?」


「ぅ、ぅんそうだけど・・・」


「んにゃんにゃ。それでにゃ、その時に本名が書き換えられてるのにゃ」


「た、確かに名前がまだ『なし』ってなってた時は、薄く表記された本名があったけど、リーファに名前を決められたら消えちゃったんだよね。それでも此処に来るまでは覚えてたはずだよ」


 確か、リーファと一緒に『ルージュ魔導具店』まで行って、投げ飛ばされた時までは覚えてた気がする。気がするだけでどのタイミングかまでは正確には覚えてないけど、それでも此処に来るまでは覚えてた気がするんだ。

 一応苗字まで思い出せると言うか、母さんのフルネームを思い浮かべたら、そう言えば僕の苗字もそうだったかも?ってな具合でだけど。。。

 いや本当ナニコレ・・・『竜ヶ峰(りゅうがみね』が苗字だと意識しても、どうしても納得出来ない気持ちが湧くんですが・・・名前も確か『アキクン』をもじったものだったはず・・・何だけど、やっぱりダメだ。全然思い出せない。


「んとにゃ。多分だけどにゃ。此処に来るまでに強い衝撃を受けて、それが魂まで影響を与えたんだと思うにゃ。それで召喚を行った術者が名付けた名前が魂の根幹まで定着して、本能的に前の名前を忌避きひしちゃって、一時的に思い出せない様になってるのかもにゃ」


 ま、マジですか・・・ぇえじゃもう僕このまま『アキクン』で生きていくしか無いの!?

 いやでもそれを無視して他の名前を名乗れば・・・ダメだ。やっぱり他の名前を名乗ろうと考えるだけでも、凄く嫌な感じがして気持ち悪くなる。。。

 これが魂に刻むって事!?じゃセルフで某宗派を刻み付けたのは、やっぱり意味が無かったのか!だってその事なら未だに茶化しそうになるんだもの!!(ぉぃ)


「じゃもう二度と本名を思い出せないの?・・・そ、そんな・・・って待って!今、一時的って言ったよね?!」


「そうにゃ言ったにゃ。確かに魂まで定着しちゃってるんだろうけどにゃ、ある一定の位階まで上がれば、この世界の森羅万象まで知り得る事が出来るにゃよ。それである程度は、この世界とともに自身を含めた『存在するもの』に干渉が出来るにゃから、それで定着した固定概念を取り除けば良いのにゃ」


 ・・・ぉ、ぉーなるほど。何だか急にこの世界の真理を求める様な流れに・・・名前一つでここまでしないといけないんです?

 何そのクソゲー!これだからハードモードの現実って嫌なんだよ!!


「あ、あのさ。ちなみにだけど、どのぐらいまで位階って上げれば良いの?」


「んーどのぐらいだったかにゃ。。。神の端っこに入るまでがSSSだったにゃから、確か・・・最低Sクラスじゃなかっかにゃ?」


 Sクラス・・・って今位階ってどのぐらいだっけ?ステータス、すてーたすぅ!!



名前 アキクン

種族 ベビードラゴン(ユニーク)

位階値 C1

生命力 B

筋力 D

魔力 B

敏捷 D

幸運 S


魔法スキル マジッククロー

技能スキル 痛覚軽減 恐怖耐性

種族スキル 竜眼(+鑑定+魅力) 魔力掌握(+魔法創造+魔力感知) 自然治癒

エクストラスキル 異世界邂逅(+言語理解+声音)

称号 粘液生物の天敵 神に愛されし者(+?????) 煩悩に忠実なる者 殉教者の末路


従魔契約:契約者「リーファ・フォン・アインシュタット」



 うおっ!見て無い間に何だか色々と変わってるってか増えてる!?

 しかも位階値がC1になってるし・・・確か最後に見た時は、F10だったよね?

 特に何もしてないのに、たった一日で急激に上がってるんだけどナニコレ・・・何もしてない方が、あのスライム群の戦闘よか上がってるって納得イカナイ!!

 ぁ、でも、もしかして、リーファに投げ飛ばされてお仕置きを喰らったからなのかな?

 あの時は、従魔じゅうま調教スキルでこっ酷くやられて、尋常じゃない痛みを伴ったから、記憶に無いってか気絶したはずだから覚えてないけど、あの後、生死の境をさ迷っちゃったりしちゃって、某野菜戦士みたいにスーパー強化したとかそう言う事かな?

 ぇ、でもそれって、急激に位階値を上げるには、毎回生死の境をさ迷わないとダメってこと!?・・・嫌だ!あんなドMっ気のある修行方法なんて絶対に嫌だ!!別に金髪になんかなりたくないよ!!ぁ、今はピンク色でしったけ?なにその色!絶対嫌だ!!



「んにゃ?ステータスでも見てるのかにゃ?ウチも見て良いかにゃ?少し確認したい事もあるにゃよ」


「ぁ、別に良いよ。んーでもこれってどうやって相手に見せるの?」


 ステータス画面って人に見せられるのかな?ぁーでもそう言えば、幼女さんことリーファがステータス画面を操作してるのを見た気が・・・。

 ん?あれ?でもやっぱりよく思い出してみても、今僕が見てる様なステータス画面は見えなかったはずだけど。


「んにゃ、大丈夫にゃよ。ウチぐらいになるとスキルで相手のステータスとか見れるのにゃ。んふにゃ、凄いでしょにゃ!」


 と自慢げに胸を張るポチたんはめっさかわかわきゅんでした。。。やっぱり持ち帰ったらダメですかね?ぁ、やっぱりダメです??残念(´・ω・`)


「ん、凄いね!やっぱりこんな所に居るって事は、神様だったりするの?魂の転生とかの仕事もしてるみたいだし。ぁ、あとステータス見ても良いよ。ポチなら信用できるし」


「えへへっにゃ~♪んにゃぁ信用もしてくれて嬉しいにゃぁ~♪♪ッ、・・・ゴホンにゃ。んにゃその通りにゃ。今はここで彷徨さまよう魂の転生のお手伝いをしているにゃ。まだまだ神格はそこまで高いわけじゃにゃいけど、並みの八百万やおよろずの神々よりは、神格が高いと自負してるにゃ」


 最初は褒められて嬉しそうに満面な笑顔のポチたんだったけど、急に居住まいを正してキリッとした顔を見せ、真面目にそう話し始めた。

 だがしかし残念かな・・・頭上にある猫耳さんがピコピコと嬉しそうに動いている姿は、ポチたんの心情を表しているようで、微笑ましい気持ちになる。なので、僕がこんなお茶目な事を図るのは仕方ないと思うんだ。


「そうなんだ。それは凄いね!ポチは可愛いだけじゃなくて、とても偉い神様なんだ。彷徨さまよう魂の転生のお手伝いもしているなんて、とても名誉がある事じゃないの?僕、尊敬しちゃうな!!」


 ともちろん本心なんだけど、わざわざその気持ちを言葉に乗せて吐露とろしてみる・・・すると、思い通りの反応をポチたんが示してくれた。


「そ、それほどでもにゃいにゃ。か、神の端くれとして当たり前なのにゃ!べ、別に名誉ってほども・・・そ、尊敬かにゃ?んにゃぁーホントそうでもにゃいんだってにゃー」


 どうにか顔を綻ばせない様に必死に真面目な顔を作ってるポチたん。だがしかし、その頭上では凄い勢いで猫耳がドラムを叩くように激しい動きを見せていた。

 うふふふっ、めっさかわかわたん。。。ぁあ愛でたい!めっさなでなでして毛繕いしてあげたい!!

 両親の知り合いじゃ無ければ、今すぐにでも飛びつきたいんだけど、ここは我慢です!でないと後で、母さんに何されるか分からない・・・ガタガタブルブル。


 「んにゃにゃ?どうしたのにゃ??急に愛玩動物に向ける眼差しをしたかと思ったにゃら、直ぐに何かに怯える様な顔をして・・・って誰が愛玩動物にゃ!もう!ウチは神様にゃよ!!あと君よりもだいぶ年上にゃ!?・・・ぁ、ぅ、年上は好みじゃにゃいかにゃ?・・・って違うにゃ!もうにゃ!!・・・ってあれ?じゃなんで怯えてるのにゃ??」


 百面相をするポチたんがそこに居ました。ダメだ!このカルマを抑えられない!!

 ん、よし決めた。あとで土下座してでも頼んで、頭だけでも良いから撫でらせて貰おうっと♪

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