テラよりも酷い世界


「ねえ、アナーヒター、蓬莱、どう思う?」

「また突然に聞くのね、テラより酷いように思えるわ……助ける値打ちが見いだせないわね」

「珍しく冷たいのね」


「この世界って、くだらない組織がのさばっているようで、テラのような訳にはいきそうもない……ナーキッドは成立しない……かなり醜い世界に見えます」


「要はせいのない世界、助けられて当然と思っている、下層の愚か者と、モラルをなくし貪るだけの支配層、健全な中流家庭がなくなりつつあります」


「ナショナリズムも強いし、我が我がが多く利己特性はテラより強固、さらに醜い世界が成立するでしょう、自滅の道を歩むしか無いように見えます」


「民族を存続させることは可能ですが、大汗かいて感謝されない、お疲れ様が目に見えますね、この蓬莱はもう一線を越していますね」


「大体、『あいつ』さんの影が見えないでしょう?」

 『あいつ』さんとは、造化三神とも呼ばれている、ミコさんたちにとっても至高の存在。

 大体今回の一連の戦争も、この方々の思惑と考えられていますが……


 影が見えないと言っていますが、ミコさんの胸の中はこう思っているのです。

 造化三神は見限っている……助ける必要もないし、あえて潰す必要もない……私もそれに同意する……


「アナーヒターのお腹の冷たいこと……」

「読んでいるなら振らないでよ……イシス姉さんはどうなのですか?」


「私なら手荒に救う……大規模にナノマシンで惑星とその住民を改造する……来る世界に適応できる女の世界を作るわ」


「イシス姉さんのお腹は、もっと冷たいじゃないの」

「でもここらが潮時のようにも思えるのだけど……」


「たしかに……でも……核を弄び、滅亡の警告を聞きながら、先送りする阿呆どもをなんとしますか?」

「今がいいのですよ、この蓬莱の人々は……」

「環境汚染一つ、まともに協調できない……今の危機は先のものが起こしたこと、自分たちは先の者が引き起こしたことを、行う権利があるとほざいている……」


「でもそんな場合ではないのに……足元の船は沈みかけている……この危機を克服してから、責任を問うべきでしょうに……つまり利己特性が、さらに進化してしまっている……」


「姉さんも、テラで利己特性の恐ろしさは身にしみているはず……幸いにもテラは、まだ何とかできるギリギリの状態でしたよね」


「信じられないほどの、膨大な犠牲を払っての人類の存続でしたでしょう?それでもあれですよ……」

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