宇賀一族は私の物よ


 明日の夜は美子姉様と茜姉様、そして宇賀様と稲田先生の四人で、宇賀一族と対立していた者たちに対して、話を付けに行く事になっています。

 スピンクスさんもお供する事になっています。


 翌日、クリームヒルトたちのマンションに、新しい宇賀一族五人も集合しました。


「クリームヒルト、皆の面倒を見ていてね、ヴァランティーヌもお姉さんの云う事をよく聞くのよ」

「じゃあ、チョット行ってくるわ」


 四人は転移して行きました。

 勿論、敵対する者たちの指導者のいる場所へ。


「ねえ、私は宇賀一族を奴隷にしたの、奴隷たちの主として警告しておくわ、チョッカイを出さないように」


「宇賀一族は、もうこの世界には関わらないと誓わせるから、どう?このあたりで手打ちとしませんか?」

「ほぉ、ならぬのですか、けつの穴の小さい狐さんですね、スピンクス、四五名、やっちゃいなさい、面倒ですから、跡形もなく消しなさい」


「ところで、指導者がいなくなったけど、私は誰と話をするの、そこの貴方、最上位なのでしょう、手打ちする?それとも戦争する?」


「そう、ありがとう、では後のことはいままで通りにしていて下さいね、私たちは何もしないから……」


 四人は八時過ぎに帰って来ました。

「これでいいでしょう、向こうが盟約を破れば、いなくなるだけですから、もう面倒事はしんどいのでね」

 美子姉様が何事もないようにいいますと、茜姉様が「お腹が減ったわ」と返しました。


「妹たちもいるし……外食も難しい……仕方ない、ピザでも取りますか……」

「皆、悪いけど晩御飯、ピザにしてくれる?」


「ピザ!ピザ!」

「スピンクスも食べるの?」

「ピザは好物です」


「貴方、ご飯は食べないとか、いっていませんでしたか?」

「さて、記憶にございませんが?」

「調子がいいですね」


「これはたくさん入りそうですね……私が電話しましょう」

 美子姉様が、電話をかけています。


「もしもし、宅配をお願いします……全部の種類、そうそう……Mサイズで……三十種類……構いませんよ……シーザーサラダは十個、ライスバーガーも十個、えっ二種類ある……じゃあ五個ずつ、フライドポテトとオニオンリングも五個ずつ、勿論ラージサイズよ、あと缶コーヒーとジンジャードリンクを十本ずつ……ほかに何かある?」


「グラタンピザ……三個ぐらい頼みます、そうそう、えっチーズ、コクのある方です、生地?厚い方ですよ……二時間かかる?馬鹿言わないで、三十分で持ってきて下さい!」


「難しい……必死で作って四十分……仕方ないわね……餓死しそうなので、時間厳守でお願いしますよ、三十分以内になんて能書きを書いているのですから……パンフに嘘はダメですよ、遅れたら本社にねじ込んであげますから、ではお願いします」


 無茶を押し通している美子姉様、お腹が減ると、少々ガラが悪くなるのです。

 宇賀様たちが呆れ返っています。


「あの……誰が今のを食べるのですか?」

「ここにいる皆の晩御飯……ちょっとテラスで月でも見ながら食べましょう、ピザでも食べれば、何か作る元気も出るでしょうから」

 二回戦をする気の、美子姉様です。


 その後、膨大な量のピザはあっさりとなくなり、さらにもっと膨大な量の晩御飯を、食べるはめになったのでした。

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