第2話

最近は生活の全てを一階ですませていたので二階に上がることはほとんどなかったのですが、たまには掃除でもと思いついたのです。


そして一通り掃除を終えて階段を下りようとしたとき、なんと階段の一番上で足を踏み外してしまったのです。


私の身体は勢いよく転げ落ちました。


そして最後に一階の廊下と壁に全身を強く叩きつけてしまいました。


廊下に仰向けに倒れた私は、起き上がろうとしました。


不思議と痛みはそれほどありませんでしたが、どういうわけだか私は起き上がることができなかったのです。


身体はまったく動かず、目だけが動かせる。


そんな状態になっていました。


身体のあちこちを打ち付けたことはわかりますが、なにがどうなったら、どこをどう傷めたらこんなふうになってしまうのか、私にはわかりませんでした。


幸い声は出すことができましたので、ためしに叫んでみましたが、あることに気付いてやめました。


私の家は田舎にあり、隣の家までけっこうな距離があります。


おまけに私の家は脇道の一番奥にありますので、家の前の道を通る人は誰もいません。


来るとすれば私に用がある人だけです。


しかし昔はそうでもなかったのですが、家が猫屋敷になってからは訪れる人もほとんどいなくなりました。


ですから助けを呼ぶだけ無駄なのです。


玄関はいつも開いていますので、たまたまなにかの用事で誰かが訪ねてくれれば、倒れている私を見つけてくれることでしょう。

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