桃源女学園からの招待状
辰巳京介
五通目、桃源祭2
主な登場人物
今田(35)
桃源物産営業一課課長。会社には五人のワイフがいる。富士子を気に入ってしまい、富士子も今田を気に入りワイフになると言う。
橘(27)
TOGEN・IT株式会社社員。長身でイケメン。車内にワイフが11人いる。
佐藤(25)
桃源工業株式会社社員。小柄であまり冴えない容姿。恋人なしワイフなし。学園祭では純子がワイフになってくれると言われる。
大泉富士子(20)
桃源女学園短期大学二年。ハズバンド・ワイフ制には反対し就職説明会では席を立ったが、今田の話と人柄に惚れてしまう。
石神井ミホ(20)
百合子の姉。百合子同様、桃源物産勤務の父親、母親の影響でグループ内のことには肯定的。自信家で「ワイフの中で勝ち抜いてイケメンをゲットする」が信条。エリートでイケメンの橘に猛チャージをする。
千葉ユミ(20)
ミホの友達。イケメンエリート橘に猛アタックする。
望月純子(20)
桃源女学園短期大学。佐藤のワイフになると言う。理由は「持てない人が好きだから」
禿げの社長柏村(65)
奥さんに死なれ、娘も嫁に行き寂しさからワイフを探しに就職活動にやって来る。
1.
桃源祭にはもう一つ重要な行事がある。
それは、桃源グループ120企業の女子新入社員採用面接だ。
タカシ達と一緒に、スーツ姿の男たち三人とラフな服装をした頭の禿げた初老の男が敷地内に入って行った。
スーツ姿の男たち三人が立っていると、二人の女子学生が近づいてきて、
「就職課の方ですか?」
と、尋ねた。
「桃源物産就職課の今田です」
「TOGEN・ITの橘です」
「僕は、桃源工業の佐藤です。よろしくお願いします」
佐藤は慣れていないといったように、右手を差出し握手をした。
「体育館の方で、今、企業様用のブースの支度をしております。ご案内します」
きちっとした身なりと受け答えで、女子学生が三人を体育館へ案内しようと歩き出すと、
「わしも就職で来たんじゃが、一緒によろしいかな?」
若い社員二人を連れた、初老の男がハゲた頭を撫でながら前へ出た。
「失礼いたしました、どうぞこちらです」
「桃源商事の社長の柏村だ、よろしくな」
もう一人の女子学生が、初老の男へ笑顔を向け横について歩き出すと、男はいやらしげな笑顔で女子学生の胸元をチラ見した。
女子学生二人に案内され、就職課の課長、今田、橘、佐藤そして柏村たちが体育館にやって来ると、フロアには五十以上のブースがすでに準備されていた。
「これ全部桃源グループ企業のブースですか? いくつあるんです」
「六十社だ。まだ、明日がある」
他のグループ企業の就職課たちはすでにやってきていて、準備を始めていた。
「さ、我々も急いで支度だ」
「わしも急がんと、かわいい女子学生を逃してしまう。おい、君たち急いでくれ」
禿げの社長柏村が若い社員を指さして叫んだ。
× × ×
「よし、だいたいこんな感じか」
桃源物産の課長、今田がハンカチで汗をぬぐう。
「準備できましたね」
橘と佐藤も両隣のブースから姿を現した。
体育館の外からは、バンドの演奏が聞こえてきた。
学園祭の雰囲気だ。
学園の敷地内では、華やかな催しが行われている。
「いらっしゃいませ、やきそばはいかがですか?」
エプロンをつけたかわいらしい女の子たちがやきそばや綿菓子を売っていた。
今田たち三人は、笑顔を浮かべながら模擬店を眺めて歩く。特に桃源工業の佐藤はさっきからきょろきょろしていた。
中庭のステージではダンスのパフォーマンスが行われていた。十分に練習を積まれた様子で、そういったことに疎い三人にも質の高さはよくわかった。
「あのぉ、改めまして。TOGEN・ITの橘です」
「桃源物産の今田です」
「あ、自分は桃源工業の佐藤といいます。しかし、うわさ通りここはかわいい子が多いですねえ」
「自分は今年でここ二度目ですが、今田さんは?」
「六度目ですね。去年は若い社員に任せましたが」
橘が佐藤を見ると、そんな話などどうでもいいと言った様子で、しきりに女子学生たちを眺めている。
「佐藤さんは初めてですか?」
「え? ええ。あ、わかります? おはずかしい。ところでお二人は社内にワイフはお持ちですか?」
「いますが」
「いますよ」
「ちなみに、橘さんは、ワイフを何人?」
「11人です」
「11人!」
イケメンの橘は事もなげにそう言う。それを聞いて小さくため息を突く佐藤を見て、今田は小さく笑った。
桃源工業の佐藤は社内に「ワイフ」はいない。そして、恋人も、もちろん妻もいなかった。
小柄で痩せた体つきで、イケメンでもなくセックスアピールに乏しい彼は、当然あまりモテず、大学時代に付き合っていた彼女には卒業するときにフラれてしまった。
「今年の求人活動、自分にやらせていただけませんか?!」
そう願い出た佐藤の申し出を、人事課の課長は受け入れた。自分の好みのタイプの女子学生を就職させ「ワイフ」にするつもりなのだろうと、課長はすぐにわかったが承諾したのだ。それで、最近、下降気味の佐藤のモチベーションが上がるならそれもいいと考えた。
「今日は、何としても優秀な女子学生を見つけましょう」
佐藤は言い聞かせるようにつぶやいた。
ほどなくして、各企業のブースの準備ができた。
体育館の扉が開くと、女子学生たちが中へ入って来た。女の子たちは、みな思い思いおしゃれをした私服である。
「ここの学生さんたちの就職活動は、みんな、私服なんですね」
と橘が目を輝かせた。
「うちのグループでは、就職活動はリクルートスーツ禁止だからね。同じ服装で個性を消してしまわないようにという理事長の意向なんだ」
そう言うと、今田と橘、佐藤はそれぞれ自分のブースへ帰った。
橘の会社「TOGEN・IT」のブースの前には早くも列ができ、橘が席に付くや否や女子学生たちはこぞって席に付いた。
百合子の姉のミホとその友達ユミが就職会場を歩いていた。この二人も今、就職活動中だ。
「あー、いい男いたら、決めちゃおうかなあ」
ミホが言った。
「ええ? 何を」
「ハズバンド」
「え? だってそういうのは内定もらってから社内で決めるもんなんじゃないの?」
「そんなこと、ぐずぐずしてたらいい男なんてどこかの可愛い子に持ってかれちゃうもん」
ミホは積極的な性格で、男は勝ち取るものという固い信念を持っていた。
ミホ達が辺りを見回しながら歩いていると、TOGEN・ITのブースの前に来た。
中では、スーツ姿のイケメンエリート橘が女子学生相手に企業説明をしていた。
「きゃー、ちょーかっこいい、あの人」
「え? あ、ほんと、でもあの人チョー倍率高そう」
「きーめた」
ミホはニヤリとつぶやく。
「ミホ?」
そう言う間もなく、ミホは橘のブースの列に並んでいる。
「もおミホったら」
橘のブースは列が絶えない。
それに比べ、桃源工業、佐藤のブースはガラガラで、女子学生は足早に通り過ぎてしまう。
それと言うのも桃源学園女子短期大学は、完全に女子学生の売り手市場で、80名の学生数に対し、グループ内の120社が学生獲得に来ていた。一社で複数採用したいという企業もあった。
一方で佐藤の努める「桃源工業」は、グループの中ではトップクラスの業績の悪さで、他の企業に比べれば給与や休みといった条件も悪かった。
「まずいな、採用ゼロで会社に帰ったら、ますます社内評価が下がっちゃう。何とかしなくちゃ」
佐藤は独り言を言うと、
「桃源工業です! ただいま、条件をご提示しておりまーす」
ブースの前に出てきて大きな声を上げた。だが、そんな彼を見て女子学生はくすっと笑うだけだ。
桃源物産の課長のブースにも、そこそこ女子学生がやって来ていた。だが、彼女たち女子学生の底抜けの明るさに三十半ばの課長今田は少し疲れてしまう。
禿げの社長柏村は腕を組みブースで目を閉じていたが、おもむろに前へ出て、歩いてきた女子学生二人を、
「ちょっと、こちらへ」
と手招きし、自分のブースへ呼び入れた。
「お姉さんたち、うちの会社で働いてみんかね」
「えー」
「給料は、はずむで、わしは社長だからな」
二人は顔を見合わせて笑った。
柏村が女子学生に小声で何かささやくと、女子学生は笑顔になった。グループ内の他の企業と比べても好条件だ。
「あのお・・・」
一人の女子学生が口を開いた。
「社長さんの会社は、素敵な男性社員、いらっしゃいます?」
「ちょっと、単刀直入すぎるでしょ」
もう一人の女子学生がつっこむが、その質問の答えを知りたがっているのは明らかだ。
何しろ、桃源グループには「ハズバンド・ワイフ制」がある
「おるよ、おりますよ、たくさんね」
「ほんとですか?」
「ただし、誰を恋人にしても構わんが、ハズバンドにはわしを選んでほしい」
「えー」
「それが条件じゃ」
「社長さん、のですか?」
禿げの社長は、若い女子学生を『ワイフ』にしたがっていた。
「実は、妻に、一年前に先立たれてね」
柏村は、少しドラマ調な口調で話し出した。
「娘も、先月嫁に行ってしまったんだ」
「はあ・・・」
「寂しくてねえ」
社長はうつむき、後頭部をなでる。
「人の背中には、自分では洗えない場所がある。手が届かない場所が。男一人では生きていけないんじゃ」
「はあ・・」
女子学生二人は困惑した。
イケメンエリート橘のブースの列で、やっとミホの番が来た。
ミホは満面の笑みで橘の前へ座る。そのとき、さりげなくテーブルの上で自分の豊かな胸を強調した。
「ええと、これが条件です」
橘は、それに気付いたのか気づかないのかわからない表情で、笑顔を作り、他の女子学生と同じようにミホに企業説明のパンフレットを差し出した。
ミホはパンフレットも見ずに橘を熱く見つめた。
この人のワイフになりたい。そして、ほかのワイフたちに打ち勝って結婚するんだ。
3.
「ここは何の展示室?・・・、あ、ディズニーか」
今田は、ブースを一時休憩にして、人気(ひとけ)のない校舎の、ある教室へ入っていた。
部屋に入ると壁には歴代のディズニーのアニメがパネルで展示されていて、モニタでは今「くまのぷーさん」が流れている。
一人の女子学生が、高いところからはがれ落ちた掲示物を元の場所に貼ろうとするが、椅子に乗ってもまだ届かない。
椅子の上で素足になり背伸びしている女子学生の一生懸命さに、今田は目を留める。
「貸してごらん?」
今田が言うと、女子学生は掲示物を課長に渡し椅子から降りた。
課長は高い身長で悠々と掲示物を貼り直した。
「すみません」
女子学生は照れてお礼を言った。
「ここは?」
今田は室内を見渡して、
「ディズニー研究会か何か?」と聞いた。
「はい。研究会って言っても、部員、私一人ですけど」
大泉富士子はそう言うと、くったくなく笑った。
課長の今田は、壁に貼られている掲示物を、一つずつ見て歩いた。どれも丁寧に、時間をかけて作られているのがよくわかった。
歴代のアニメ映画の作品が、パネルにして並んである。絵本をカラーコピーしたのだろうか、幼い手作り感があった。
シンデレラ、白雪姫、眠れる森の美女と言った昔のものもあった。
今田がピーターパンを眺めながら、
「これ、好きだったな」
そんな言葉が思わず出た。
若い女と気安く話せるタイプではない今田だったし、今にしても、就職を求める女子学生たちとの相手に疲れここへやってきたのだが、彼女は「そこにいない」ような透明な空気感があった。
今田に、口を開かせたのは、昔なつかしいディズニーアニメが飾られたこの空間と、それを演出している彼女だった。
「ピーターパン、お好きなんですか?」
「うん。未だに大人になりきれないのがばれるね」
今田は、ちょっと笑った。
「君はどの作品が一番好きなんだい?」
自分だけ喋ったのが照れくさくなり、今田が聞くと、
「これですよ」
と、富士子は映像が流れているモニタを見た。
「私はこの、プーさんが一番好きなんです」
「小太りな人がタイプか」
小太りでない今田が言うと、
「いいえ、ピグレットが好きなんです」
富士子は笑顔で言う。
「ピグレッと?」
「これですよ」
富士子はモニタに映っている、痩せた子豚のキャラクターを指差した。
「こんな痩せてて、ブタなんです」
そう言うと、富士子はまた、一人でケタケタと笑った。
今田は、さっきから自分の心が、どこかへ落ち着いていくのを感じていたが、それが、この女子学生の、この笑い方のせいだと今気づいた。
「小学生の時、好きな先生がいて、似てたんです。ピグレットに」
富士子はそう言い、今度は笑わずにモニタの子ブタを見つめた。
「うちのブースへ来て、話を聞いてみないか? 僕は就職課で来てるんだ」
「でもあたしは、美人でもないし、頭がいいわけでもないから」
富士子は普通の口調でそう言う。
「うちの企業で、一番必要としてる女性がどんな人かわかるかい?」
「さあ」
「男性社員を、癒してくれる人さ」
「・・・」
「君には、その才能がある」
「私、大泉富士子です。」
「桃源物産営業一課課長の今田だ」
二人はブースに戻る傍ら、少し歩くことにした。
「私、この間短大で就職課の人から説明を聞いて、そうだ、あの人も桃源物産って言ってたわ、名前は・・・」
「横手夏帆かな? うちの就職課の」
「そうです。ハズバンド・ワイフ制って、説明会のとき聞きました。私には無理だなって」
「ハズバンドは、会社に入ってから、好きな人を女子社員が選ぶんだ」
「ええ、それも聞きました」
「君ならきっと素敵な人が見つかる。そして、その人も君を好きになるさ」
「恋人でも、夫でもない人と関係を結ぶ意味って、どうなんだろう・・・」
今田が言った。
「男と女が職場で仕事を一緒にする場合、一般企業では必ずと言っていいほどある問題が起こる。それは、その男女が、お互いに気が合わなければ仕事はうまく行かないが、逆に気が合って男女関係になった場合、社内では特別な関係として見られてしまう。どちらかが、多くの場合女性が、別の部署やほかの会社に移動する。せっかく仕事上のいいパートナーになれても、その二人がいちゃいちゃと仕事されてたら周りはいい気持ちがしないからねえ」
富士子は笑う。
「ところが、女性の方がやめて結婚し家庭に入るが、その女性が仮に仕事が好きだった場合、家事や育児よりもね、育児が一段落ついて社会に復帰しても、ブランクができてしまう。もう一方で、その相手を仕事上ではいいパートナーとして見ることができていても、夫としては妻としてはとなると、疑問符が付くこともある。仕事上のパートナー=家庭でのパートナーとは限らない場合は多いからね。うちのグループこのシステムでは、男と女の最も信頼できる関係を、業務に生かせる。男女関係がオープンになってるから、不倫もない」
富士子がうなづいた。
「男女関係になった女性に対して、男は、責任を感じるものだ」
「責任、ですか?」
「身内意識と言ってもいい、だから、女子社員たちは上司から色々とやさしくしてもらえるんだよ。たとえば、そうだな、体調を気遣ってもらえるとか、休みがとりやすいとか、あとは食事をごちそうされたり、ちょっとしたプレゼントをもらえたりとか」
「いいですね」
「普通の会社だと噂話が立つが、繰り返しになるが、皆二人が男女の関係にあることを知っているから、誰も噂にしない。小遣いをもらったりしても問題にならない、あとは彼氏の相談に乗ってもらう人もいるね」
歩きながら富士子は今田の話を聞き入っていた。
ブースに着くと今田は、給与条件などが記された書類を富士子の前に出して、
「給与、賞与、それからこれが、保養施設など、全国にこれだけある」
「へえ、素敵ですね」
綺麗な印刷のそのパンフレットには、豪華なホテルや旅館の写真が掲載され、レストランや遊園地、映画館、エステなども載っている。
「社員は格安で使えるんだ。もっともハズバンドがほとんど払わされるんだが」
富士子はその中の「アルテミスジャパン」という名を見つける。
「健康ランドだ、大きなローマ風呂がある。内定が決まった学生さんたちの研修会、と言っても懇親会だが、ここで開かれる。食事がうまいんだ」
富士子は、だんだんと心が傾いていった、と同時にこの年上の包容力のありそうな中年に惹かれていった。
桃源工業の佐藤はまだ苦戦していた。
「ちょっと、お話しさせてもらっていいですか」
と、一人の女子学生を強引にブースに連れ込む。
「わが社の給与面などの条件は、こちらのこの書類にある通りで」
佐藤は女性の免疫がなく、そのグラマーな女子学生の胸元につい目が行ってしまう。
「わかりました。検討させていただきます。」
佐藤の視線を敏感に感じた女子学生は、さらりと席を立ってしまう。
「ああ、またやってしまった。ちょっとそのへん歩いてこよう」
佐藤は自己嫌悪に陥り席を立った。
一通り説明を聞き終わった富士子は、
「あの」
と、今田に声をかけた。
「何かな?」
「私、御社にお世話になりたいです」
「そうですか、そりゃよかった」
今田はほっとした。これで今シングルの男性社員の一人にワイフができるかもしれない。
「それで・・・」
「ん?」
「ハズバンドは、今田さんじゃ、ダメですか?」
「僕かい? さあどうだろ、うちの会社には若くていい男がいくらでもいますよ。入ってから決めればいいんじゃないかな」
今田は少し慌てた。
「いいんです。課長さんのワイフになりたいです」
富士子は、今田の目を見てそうつぶやいた。
佐藤は疲れて、ブースに戻ると、小柄なロングヘアの女子学生が座っていた。
佐藤は仏頂面で、
「あのお、ここ、桃源工業のブースですけど? TOGEN ITはとなり、桃源物産は、そのまたとなりですが」
佐藤は少し、自暴自棄になりぶっきらぼうにそう言った。
すると、その小柄なロングヘアは笑って、
「あたし、御社で働かせてください」
「え?」
「で、あなたの、ワイフになりたいんです」
「な、何で?」
「実は、さっきからずーっとあなたのこと見てたんですよ、佐藤さんって、モテないですねえ」
そう言って小柄なロングヘアーは笑った。
「からかってるの?」
佐藤が少しむっとすると、
「あたし、モテない人が好きなんです。安心するんですかねえ」
と、小柄は指をあごに当てちょっと上を見た。
「何だよ、それ」
「一緒に、お仕事がんばりましょ!」
「ええ? 本気なの?」
すると、小柄なロングヘアは、佐藤の耳元に口を寄せて、
「望月純子と言います。今度、『アルテミスジャパン』連れてってくださいね」
と言った。
「『アルテミスジャパン』?」
富士子が聞き返す。
「サウナだよ、男女混浴の。」
「男女混浴?!」
「うちのグループが経営してるんだよ。おっきなローマ風呂がある」
今田が答えた。
「そこは、何ていうか、ハズバンドとワイフになった二人が行くんだ。」
「行ってみたいわ」
富士子は本気でそう思った。
五通目 桃源祭2 終わり
桃源女学園からの招待状 辰巳京介 @6675Tatsumi
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