第一話:If you drow it, it's yours

 自分はケンタッキー・フットボール・クラブ(KFC)の申し子ではないのだと、西園寺は思う。

 それは少なからず、多くの人が当てはまることではあるものの、実際にそれを実感することはほとんど無いだろう。

 西園寺、一昨日、或る能力を手に入れたるらし。描いたら君のものIf you drow, it's yours、なる能力なり。

 この能力は、眠る時に発動する。目を閉じてから眠るまでに考えたことが夢の世界で再現されるという能力。つまり、夢をより確実に物語フィクションにするための能力だ。

 西園寺は昨夜、ある小説を読んでから眠った。実感としては目を閉じてからそう間もなく眠ったつもりだったが、それでも野比のび太でもない限りすぐに眠ることはできない。目を閉じてからその小説の登場人物である女の子の事を考えていたのだろう、夢は女の子を中心に描かれた。

 この能力の問題点というのであれば、夢の内容を翌朝覚えているとは限らないという点だ。

 だからこそ今朝、本当に小説の通りの夢を見たときには、少しだけショックだった。

 能力の獲得自体、夢の可能性もまだ否定できない。

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