異世界転生してもいないのに家電製品を超高額で販売してて気付いたら億万長者でした〜家電製品高く売りたい〜

架橋 椋香

プロローグ:朝起きたらまず息を吸う。

 朝起きたら。

 サイエンスフィクションと、西園寺フリクションは思いの外似ているものである。そして、やはり今でも僕は自分の苗字が心の底から嫌いであることを確認し、そこで初めて、肺の底から息を吸う。吸えない日があってはいけない。

 ------嫌になったんだ。と夢の中で女の子は言った。朝起きた時、夢の内容を覚えている事はあまり無い。もしかしたら今日が初めてかもしれない。

 いや、そんなことは無いはずだ。僕は今までいた世界を、夢だと瞬時に理解した。初めて夢を見たときはおそらく、直前まで見ていた景色が、現実ではないという事を、理解できないだろう。

 やがて、何度も夢を見るうちに、寝ている間に見たものは、現実ではないと理解するようになる。

 スヌーズ機能によって黙っていた目覚し時計が、再び騒ぎ出す。割とうるさい。

 つまりは、理解するようになる、物語フィクションであること。

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