第25話 精霊達の力
「しかし何でここだけ緑の芝が生えてるんですか? それに温かいし」
「古代の機械の賜物じゃな、中央に石碑が見えるじゃろ」
「はい」
「あの中にドームを作り出す機械が入っておるのじゃよ」
カルロスの説明によればその古代の機械は見えないドームを形成して春のような気候にしてくれ動植物の成長を促す役目もあるのだと言う。
そしてその中で育った動植物はとても美味しくなるのだと言う。
「すごいですね」
「まあ、ワシが作ったんじゃなくて古代の遺物じゃがのう」と言うとガハガハとおおらかに笑った。
ビィティは事情を話し肉を定期的に欲しいことを告げた。カルロスは問題ないと言い燻製した肉やソーセージをビィティに持たせたほか新たに一頭の牛を絞めてくれた。
処理はベルリが綺麗にしてくれたので余すことなく食べられるようだった。
「この血で作ったソーセージがうまいんじゃ」
「血ですか?」
ビィティはカルロスに差し出された黒いソーセージに一瞬たじろぐ。
日本には血のソーセージを食べる風習はないだからイメージが悪いのだが虎穴に入らずんば虎子を得ず、郷にいれば郷に従えの精神でビィティは血ソーセージを一口食べた。
口の中で滑らかな味わいを出す血のソーセージは臭みなど一切なく極上のレバーパテのように濃密で濃厚な味わいのオーケストラをを口いっぱいで広げた。
「すごく美味しいです!」
自分の自信作を褒められたカルロスは自分の食べる分のソーセジもビィティに持たせた。もちろんカルロスの食事が無くなってしまうので断ったのだが、いくらでも作れるわいと半ば強引にバッグに詰め込まれたのだった。
ビィティはカルロスにお礼を言いまた来ると伝えて飛び立った。だが彼は少し飛んでから人のいない平地に降り精霊看破器を使い二体を見た。
◎水精霊(フェイク)
種族:レインボーバス♀
名前:ベルリ
主人:ビィティ
結束親愛度:259
レベル35(出世50)
ちから 10
すばやさ 15(水中50)
かしこさ 10
スキル:ウォーターカッター
:ウォーターウォール
:ヒールウォーター
アビリティー:水分を操る(初級)
:毒を
「待って、ベルリお前スキル使えるのかよ!」
『うん? 使えないよ?』
鼻唄混じりで頭上を旋回するベルリにビィティは「あっちに向かってウォーターカッターって言って」と言う。
何が出るか分からないのでビィティは障害物が無い方へ向かせ撃たせた。
『んっだよ、めんどいなウォーターカッター』
”ザッ”
だが予想に反してそれは近接用のスキルだった。水の刃がベルリから伸び、クラリスの首元に突き付けた形状の刃に変わったのだ。
「おお、これがウォーターカッターか」
『へ?』
出したベルリ自身が驚いているが検証は終わっていないので、ビィティは次の技を出させる。
「次はウォーターウォール」
『お、おう。ウォーターウォール』
”ビュバッ”
地面から水の壁が現れる。これはマリアと戦ったときに一度だけ見せた技だ。ベルリはすべて無意識で使っていたのだ。
『ちょ、なんだよこれ、オレすごくね?』
「ああ、凄いよ」
ビィティがそう言うとキャッキャキャッキャと喜び飛び跳ねる。褒められたのが嬉しいのかビィティの声も届かない。
『次は次は!』
「じゃあ、この擦り傷に向かってヒールウォーター」
『ヒールウォーター!』
名前からして回復系だと判断したビィティは自分の腕を出し擦り傷を回復させる。
”ぴちょ”
水はショボく一滴だけポタリと落ちた水が波紋を描いて腕全体に広がる。だが効果はてきめんですぐに擦り傷は消え去り癒えたのだった。
実はビィティが怪我で寝ている間にベルリはこの治療を行って回復に助力していたのをビィティはもちろん意識の無かったベルリ自身も知らない。
もちろんベスタの治療があってこそなのだが、ヒールウォーターがなければ、あそこまで完全回復はしなかったのである。
「なんだよ、お前すごいじゃんか、ベルリ」
『え、オレすごいの? へへへ』
『チッ、
ビィティは肩で聞こえないようにベルリに毒を吐くクリンを見た。
◎風精霊(フェイク)
種族:アルカディアバード♀
名前:クリン
主人:ビィティ
結束親愛度:112
レベル35(成鳥50)
ちから 10
すばやさ 10(空中40)
かしこさ 30
スキル:ウインドウカッター
:ウインドスライサー
:フェザーシールド
アビリティー:風を増加させ操る(初級)
ウインドウカッターはベルリと同じものだとしてウインドウスライサーはいつも木を切ってもらっているものだろフェザーシールドが見たことないのか。
「クリンフェザーシールドを使ってみてくれ」
『あいでちゅ』
肩に乗ったクリンが今度は自分のばんだとばかりに威勢良く翼を広げると羽が舞いビィティの周りをクルクルと回り出す。
『防御に自信あるでちゅけど火に弱いでちゅ』
クリンのフェザーシールドはビィティを守るためにマリア戦で使っていたのだが、一瞬で燃えてしまいまったく役にたたなかったので誰の目にも止まることがなかった。
それを申し訳なさそうにクリンは謝るがビィティは気にするなとクリンを慰める。
だが、そう聞いてビィティは気がついてしまった。クリンは使い方を知っていたのだがベルリに意地悪で教えなかったと言うことを。
殺されかけたんだから嫌うのは仕方ない、だけどちゃんと教えてあげなとビィティはクリン言うとしぶしぶ『わかったでちゅ』と言うのでの頭を撫でて褒めた。
もちろん寂しがり屋のベルリは腕をツンツンとつついてくるのでビィティはクルクル回して遊んであげた。
しかし二人の可愛さに分け隔てなどないけど、結束親愛度なんて物が見えるのはちょっと嫌だなとビィティは思った、まるで数値の低い方が自分を嫌ってるように見えるからだ。
精霊看破器はあまり見ないようにしようと決めたビィティであった。
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