真善の裁決：聖剣と魔剣の伝説

上巻·救世の旅

その一 勇者絶望事件

第１章 幼なじみ、帝国騎士、そして魔女

　この世の理は、天に連なる。

　心を奪われて勇ましく、善を失い悪を生む。

「じゃあ、いってきます、伯母さん。」

　少年はバスケットを持って女主人と手を振って別れを告げた。

　女主人は微笑んでうなずいた、彼女の手元は農作業で忙しく、田舎の人にとっては、こんな日には慣れている。

　少年の隣には可愛い少女がいて、綺麗な長い髪をした、かわいいスカートをはいていた。

「私も行ってきます、ママ！」

　少女はふざけて手を振って、振り向いて少年を押していた。

「アルウィ、タニルにも何か持ってきてくれ。　あと、三人で遊びに行くなら、安全に注意し気をつけてね。」

　娘の心はまだ大きくならないので、母である彼女もまじめに説教するしかなかった。

　しかし、アルウィはいつも平気な顔をしている。

「タニルが持っていたんだ。　それに、村の近くにいるだけだから、心配しないで。」

　アルウィはニールの肩を叩いた。しかしタニルは肩をすくめただけで、その時の彼は、片手に食材の詰まったかごを持ち、もう一方の手は野炊用の器具を提げている。反対側より重いせいで、体のバランスを保つ努力が必要だった。

　女主人が娘の聞き分けがないことを感じたとき、隅から男の声が聞こえてきた。

「安心しろ、母さん。　グランがいるから、きっと大丈夫だ。」

　男主人はベンチにもたれて座っていた。手に持っている木製のコップを置いて、のんびりと言いながら、玄関に来たばかりのもう一人を見た。

「伯父さん、褒めすぎです。」

　それはみんなとちょっと違うやつだ。背が高く、背が高くて、髪は男性の中では長いほう。

　重要なのは、彼は美しいエルフの長耳を持っている。

「能力は限られていますが、彼ら二人の安全を面倒を見てあげます。」

　そう言った男エルフも、手に物をいっぱい提げて、まるで兄のように。

　今回のピクニックについては、あの少女ほど期待していなかったが、彼は三人とも楽しく遊ぶことも望んでいた。

「急いで、グラン！」

　アルウィに促されて、男エルフはおだやかに笑っていた。

「いいよ。」

　少し古い民家を出た後、三人はふざけ合いながら、曲がった泥道に沿ってだんだん遠ざかっていった。

　彼らにとって、このような楽しい日々は珍しくなく、平凡な日常にすぎなかった。

　帝国騎士は、こんな辺鄙な辺鄙な地に駐留することを好まなかった。

　騎士になれるのは、金持ちの子弟が多いのだが、彼にはそんな良い背景がを持っていない。

　幸いなことに、彼は一生懸命して今日まで歩いた。たが、また天井に出会った。

　そこで、彼はずっと手柄を立てて昇進する道を探していた。例えば戦闘中で功労を立てたり、指名手配リストに載っている重要人物を捕まえたり。

　そのため、今、兵舎の屋根に現れた謎の女を見た時、

「兵士たち、追え！　あの魔女を逃がすな！」

　彼は馬に乗りながら，怠け者の手下に命令した。

　謎の女は決して普通の人ではない、さもなければ屋根の上で走る、ジャンプすることは不可能だ。ましてや、相手が彼と目が合った瞬間に、振り向いて逃げるというのは、あまりにも気になりすぎる。

　考えているだけで行動していないなら、騎士が騎士になって、現在の位置に登ることはできない。

「動作を速くしろ！」

　女の一身の奇妙な魔女の装いは、ぼんやりしていたが、騎士は最近どこかで見たことがあると感じた。

　彼女は速く走って、視線の中に消えてしまった。

　村の外の川に到着すると、三人はピクニックの準備を始めた。

　タニルの手慣れた手つきですぐに火が燃え上がった。

　しかしその後、彼は何もしないつもりで、川のほとりにしゃがむていた。彼の注視の中で、グランは弓矢をいっぱい引いて、なぜかきらきらと輝く川に向かって、びゅっ、と音を立てた。

　飛んだ矢が川に沈んだ。タニルはしばらく期待して待っていたが、しばらくして何も起こらなかった。

「グラン、まさか、アーチェリーで捕まえるつもりじゃないだろうな？」

「やってみるだけ。」

　タニルが笑うべきか、ため息をつくべきかわからない時、

「タニル、降りて！」

　そう言ったのはアルウィだったが、いつの間にか川に入って、綺麗なスカートが川に浸かったが、彼女は全然気にしていないように見えた。

「下りて何してるの？」

「魚を取れ！」

「いや、服が濡れるだろう？」

　ニルは不本意そうに言ったが、少女は彼の考えを無視して、水をついでに岸辺に来て、両手を伸ばして彼を水の中に引き込もうとした。

「おい！…やめて！……」

　タニルは抵抗したが、アルウィはもっと力を入れている。しかし、女の子は男の子よりも確かに力が大きくはない、一般的にはそうだ。一方、アルウィの可愛さは小さく、もちろん特例ではない。

「いやっっ！」

　タニルが変な声をあげて、女の子のような声だ。床の石が滑りやすくて、彼は不幸にも川に落ちた。

　幸い、川は浅く、水しぶきが跳ね上がった後、タニルは川底の石に腰を下ろして、ただ水に少しむせたようだった。

　そして彼は気づいた。アルウィは彼の体の上に奇妙な体位でのしかかっている。

　二人とも全身に水が浸かっていた。触ってはいけない部分があってもいなくても、タニルは恥ずかしくて文句を言った。

「何してるの...服が濡れてる！」

「はははは…！」

　アルウィは気にしないように、とても嬉しそうに笑っていた。

「うん……」

　少女の濡れた姿と、無邪気で明るい笑顔に、細かいことが気になる純情な少年は、思わず顔が赤くなり、顔を背けた。

「お前ら、これ以上騒ぐな！　すぐに助けてください。」

　二人の曖昧な雰囲気はグランに中断された。

「私も、調理器具や食材の準備を始める。」

　グランは弓と矢筒を火のそばの地面にちんと置いたが、どうやら魚を弓矢で撃つという考えを諦めたようだ。

　アルウィとタニルは立ち上がった後、また川で長いこと振り回し、そして岸に戻ってきた。

　彼らの努力の戦果を見て、グランは額を抱えて、ため息をつき、

「一匹しか取れなかったな……」

「へへへ…」

　アルウィは笑顔で、タニルはばかげた顔をしていた。二人の戦利品はただ一匹の川魚で、タニルにつかまり、まだぴんぴんしているようだった。

　タニルは取っ手のついた小さなバケツに川魚を入れた。アルウィは身を屈め、鍋の下でゆっくりと動く炎を見ている。

「火が足りないねえ…私は森に薪を拾いに行く。」

「はいはい…」

　タニルは少女を無造作にごまかした。それに対して、グランは少女に基本的な関心を示している。

「一人で行くなら、注意してね。」

「うん！！」

　グランが母のようなリマインダーを聞いて初めて、アルヴィルはもう空のかごを持って元気に出発していった。

　兵舎の外の丘の中腹からさらに遠くの道まで、兵士たちは馬に乗って追いかけているのに、ずっと前から逃げてきた謎の女と距離を近づけることができなかった。

　この連中を率いた帝国騎士は、今胸がドキドキしている。

　将兵の全体的な資質の向上を刺激するために、ブライトン帝国は完全な立功昇進の道を確立した。逆に、部下の集団から非難されれば、リーダーも失脚する可能性がある——騎士はもはや騎士ではない。

「あの女はまだいるのか！？」

　彼は焦って部下に尋ねた。わずかな気のせいで、気がつくと魔女の姿をした女性はすでに彼の視線の中に消えてしまった。

「はい、すぐ前です！」

　前の兵士に追いつくと、帝国騎士も見えたが、前方に分岐点があり、丘の中腹の高い壁が、謎の女の行く手を遮っていた。彼女は足を止めているようで、どの方向に逃げるべきかわからなかった。

　いいチャンスだ、と騎士は思う。

「もう急いで、彼女に追いつけ！」

「タニル、きみは、アルウィのことを、どう思う？」

　グランはさりげない言葉を尋ねているようだった。

「は！？」

　タニルは鍋の中の水が沸き上がるのを静かに待っていたようで、この話を聞いて、すぐに明らかな反応を見せた。