第16話 吾輩……エッセイ書いてない
吾輩は目を覚ました。こうもりが話しかけてくる。
「旦那、お目覚めですか?」
「あぁ……売れてぇな、吾輩マジで売れてぇ!」
「……なんすっか……売れない芸人みたいなこと言って……」
「褒められたい、チヤホヤされてぇ! マジ神扱いされたい!!」
「……神様お願いです、少し黙ってください」
ということで、売れない吾輩です。
いやー、書いても書いても伸びないっす。難しいっす。小説マジ難しいっす。
「喋り方がうざいっす……旦那」
ε-(´ω`○)ハァ……
気を取り直して久々のエッセイで帰ってきました吾輩。時代に翻弄されて、筋トレやっていますが体重が増えます。消費カロリーが消える意味が分かりません。草食生活しても、体重が増えます。結論、死にたい。
吾輩は考える。
最近、ブルーピリオドという漫画を読みました。
マンガ大賞2020に選ばれてる逸品です。
内容は、美術を始める偽チャラ男くんのスポコン。
これだけだとアレですね。言葉が足りないですね。
成績優秀、世渡り上手。飲酒喫煙夜遊び好きで人望ありのリア充高校生男子が美術に目覚め、東大など足元にも及ばない狭き門国立東京藝術大学を目指す超スポコン受験物語。
おわー……内容が濃い_(:3 」∠)_。
しかし、これが抜群に面白いのですよ!! ちゃんとスポコンです!!
リア充といいながら中身がない人生。何かやりたいことがあるわけでもなかった高校二年生が一つの絵をきっかけに創作に目覚める。絵というモノで自己表現を得る快感にハマりドツボに堕ちていくのです。
そんなに芸術って甘くねぇから('Д')クワ!
何も知らない状態での遅すぎた目覚め、スタート。
なんでも器用にこなしていたけど、これだけはそうはいかない。ソツなくなんて出来るわけもない。ただ、努力家だったのが功を奏してどんどんと実力をつけていくのだが、自分を表現することによる恐怖。
本当の自分はなんだろうと常に打ちのめされる。
本当にスキだから、本気で努力しているからこそ、押し寄せる不安と恐怖。
上手く書けていると思ってもそうではない、何度も何度も泥沼にハマる。周りは小さいころから絵を描くことに時間を費やした人間たち。足りないものを必死に埋めようとするけど、やり方も分からない。
本当の自分が何もないと見透かされていることへの、恐怖。
虚栄を暴かれ、突きつけられる、自作品。
本当にコレでいいのだろうか。コレで正解なのだろうか。迷いが生じる。
自分の作っているものは……どう評価されるのか期待と不安。
いい時もあれば悪い時もある。むしろ、悪い時ばかり。
本当にスキで本気でやってるからこそ、
たった一言で脆く容易く心の深くが傷つく――。
『俺、ずっと自信がなかったよ……いや、今でもね』
『俺だって、自分の絵がこの世の誰より優れているなんて思ってない』
『俺より上手い人なんかいくらでもいる』
『でも――でもさ――』
『この世界の誰より…………俺は』
【―――――俺の絵に期待してる】
ただ、好きだから。ただ、本気で何かあると思うから。
自分にかけてみたいと、思う。
あぁ……あぁああ……_(:3 」∠)_
挑戦することは怖いこと。知らないことは恥ずかしいこと。失敗することは悪いこと。自分を出した作品は自分と変わらない。ソレが貶されれば剥き出しの心が傷つく。
だって、自分の心なのだから。
とても何かを創っている方には共感しやすい内容。心を抉られる。スキだけじゃどうにもならない時がある。楽しかったのにどんどんと苦しくなっていく描写がリアル。おまけに主人公だけでなくほかの登場人物たちも色濃い。
一巻で出てくる美術部先生の言葉――『好きなことをする努力家はね、最強なの』
描かれる主人公は最弱。この対比よ。
素晴らしい作品なのでぜひお勧めでございます。
「ふぅ……書いたぜ」
「…………」
「なんだ、眷属? 何か言いたそうな眼をしている?」
「人の宣伝する前に自分の書けよ」
「…………ちっくしょ!」
まぁ、たまにエッセイも書きたい。心のゴミを出すのはエッセイが一番。
自分であり続けることは難しいものだと思います、吾輩( ゚Д゚)。
では、寝ます。グッナイ!
《つづく》
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