第20話 第5階層① 圧倒的な恐怖を感じる私

 第5階層へ向かっている間、色々考えてみました。


 第3階層でのセーフティーゾーンは、ゲームでいうとセーブエリアです。


 体力を回復してセーブしてボス戦に向けて準備をする。


 第4階層がボス戦なのかなと思ったのですが、実際はモンスターがスライムで今までと同じダンジョンでした。


 装備が整っていたということもあって、楽々進むことができました。


 でも、それは第5階層への油断を誘う為の階層であったと考えることはできないでしょうか?


 楽勝な気持ちで、そのまま第5階層へ進み、その油断が第5階層での命取りになるということは考えられないでしょうか?


 考えすぎだったら良いのです。


 でも、考えすぎじゃなかった場合は、第4階層のアイテムを売却することでゲットできる装備が必要だった場合は、どうでしょうか?


 その装備がないことで、苦戦を強いられてしまうこともあるかもしれません。


 苦戦をしても倒す事ができるなら大丈夫ですが、その装備がないと倒す事すらできない場合は、どうすることもできません。


 ここはゲームに似ているダンジョンですが、ゲームではないのです。


 死んだら終わりです。


 石橋を叩いて渡るくらいがちょうどいいのです。


 むしろ、それ以上に安全に行動でしても問題ないのです。


 第5階層のへ進んだときに感じた、圧迫する空気が私の説明を裏付ける証拠だと思います。


 逃げ出したいと思いました。


 私は今までモンスターと戦うような生活はしていませんでした。


 安全な国で、安全な生活をしていました。


 もちろん、危険なことがないかというとそうではありません。


 でも、比較的安全な生活ができる国です。


 初めて感じる死という感覚で、私の足がこれ以上前へ進むことを恐れています。


 恐怖です。


 圧倒的な恐怖です。


 今までとは違います。


 初めてゴブリンと戦った時も恐怖を感じていました。


 でも、そのときとは比較にならないくらいの恐怖を感じます。


 体が震えます。


 そしてとても息苦しいです。


 このまま進んでも私は何もできずに殺されてしまうだけだと思います。


 まずは、少しずつこの恐怖に慣れて、いつも通り行動できるようにしなければいけません。


 恐怖に慣れる。


 そんなことが出来るかはわかりませんが、やらなければいけないのです。


 まずは、一歩踏み出す事から始めます。


 その後は体を少しずつ動かします。


 息切れしないように呼吸を整えることもします。


 少しずつ、少しずつ、いつものように動けるように体を慣らしていきます。


 でも、無理はしません。


 限界までやると倒れてしまうかもしれませんので、8分目くらいで第4階層へもどります。


 第4階層へ戻ったら、本調子に戻るまで休み、休んだ後は第5階層へ進みます。


 戦い方も忘れないように、たまに第1階層へ行って第4階層へ戻って来る石当ての戦闘訓練もしています。


 最終的な自信はきっと第6階層へ進むことができたときについていると思います。


 これ以上はどう頑張っても、変わらない気がします。


 後は、全力を出して進むしかないです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る