ほしぞら

第1話

夜空を見上げる。

季節は冬。

オリオン座が目立つ。

星座に詳しくない人でも、オリオン座はわかる。

昔、オリオンズというプロ野球チームがあった。

今の、千葉ロッテマリーンズだが、なぜオリオンズになったのかは、調べてみよう。

「彼も見てるかな」

昔、仲の良かった男の子の事を、思い出した。

目立たない子だったが、絵がとても上手だった。

私も、よく描いてもらった。

全部、残してある。

「いつか、価値が出たらいいな」

ふと、せこい事を考える。

そして、星が好きだった。

８８の星座は、全て言えた。

私は、１２星座では、天秤座になる。

彼は・・・なんだったかな？

天秤をモチーフにした、キャラクターを描いてくれた。

小さく彼のサインが入っている。

私は、十河敬(とがわ　けい)

この春から、地元の会社にＯＬとして、勤める事になる。

なので、つかの間の有意義な時。

彼は、同じ高校に通っていたが、卒業後に旅立っていった。

連絡は、取れない。

旅立ったと言っても、引っ越しをしたということ。

あの世へ行ったわけではないので、念のため。

彼は、生きている。

多分・・・

おそらく・・・

もしかしたら・・・

いや、きっと・・・

「寒くなったな」

私は部屋へと戻った。

「お姉ちゃん、絵本読んで」

甥っ子が、部屋へと入ってきた。

「いいよ。何？」

「これ」

甥っ子が差し出した一冊の絵本。

《オリオンとさそり》

意味ありげな題だな・・・

あっ、この絵、どこかで見たような・・・

作者は・・・初めて聞く名だ。

たくましいや

あれ？

彼の名前は確か・・・

まさかね。

その時、家の電話が鳴った。