人と比べる男

水谷一志

第1話 人と比べる男

私は、すぐに人と人とを比べてしまう。

しかし、それを悪いことだとは全く思っていない。


私は若い頃から、ひたすら人を比べてきた。

それは所得にしろそう。家庭環境にしろそう。

その他、あらゆる見方で、私は人を比べるのが好きだ。

またある人は私のことを、「変人」と言う。

しかし私はこう反論したい。

―「誰だって、多かれ少なかれ人と比べてしまう心を持っているのではないか?」と。


そんな私は、人と比べることで、ここまで偉くなったと思っている。

まあ、「偉くなった」と自分で言うのは語弊があるが、それなりの職にはついているつもりだ。

人の所得は?性格は?育った環境は?―ありとあらゆるものを比べて、私はここまで来た。

そしてこれからも、それは変わらない。

私は、これからも人を比べ続けるだろう。


※ ※ ※ ※

「ではこれより、【比較人類学】の権威、○○教授の講演です。」 (終)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人と比べる男 水谷一志 @baker_km

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ