第9話 新生チーム
八人いた三年が全員抜け、残った二年の十五人と一年の六人の中から、新たなチームを作ることとなる。
二年が十五人もいるのだから、特別なことが起こらない限りは、二年だけでチームが編成される。しかしながら今回は、その特別なことが起こった。一名の一年がレギュラーに混じったのだ。ポジションはピッチャーで、名を神早閃と言った。神早は、レギュラー入りが固定となってくると、他の一年よりも自分は特別であると思ったのか、球拾いなどの後片付けをしなくなった。
九月のある日、いつものように授業が終わり、部活練習が始まったが、一時間もしない内に雨が降り、練習が中止となった。
俺は、後片付けを颯と終わらせ部室に戻ると、前村と矢久部の二人が着替えているところだった。もう他の者たちの姿は無く、きっと帰宅しているのだろう。俺も二人と同様に着替えを始めた。
「なあ刀也、お前も俺たちと一緒にバッセンへ行かねえ?」
制服のズボンを履きながら、前村は俺に言った。しかし俺は、聞き慣れない言葉に疑問を投げかける。
「バッセン?」
「ああ。練習が早く終わって暇だから、矢久部と一緒に行こうって話になって。お前も行かねえか?」
「いや俺は……」
バッセンというのが何だか分からなく、だから止めておく、とはあまりにも恥ずかしいために言えなくて言い淀んでいると、俺が何で躊躇っているのか、そんなこと気にも留めない前村は「何か用事でもあるのか?」と、俺に迫り、逃げることができなくなった俺は、仕方なく同行することになった。
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