ハイスペック転生
flaiy
三年の時を経て1
「ティア! 逃げないと、早く立って!」
声が聞こえる。
視界を上げる。すると、深緑の
「……何が、起きて──ッ!?」
後ろの支えから上半身を起こそうとお腹に力を込める。しかし、それと同時に頭に
「がっ、ぁ……!」
言葉にならない
♢
着替えなどの
「ティア、頑張ってね」
「うん、行ってきます!」
ユキの顔を見てそう答えて、私は急ぎ
私は今日から、この街ーーフェルメリアにある
その学園に、私は
フェルメリアを東西に
学園は、その道を数フォティラス進んだところにある。フェルメリアの区画関係で見れば、ちょうど住宅区と貴族区を
校門の前で足を止めて、その
「おっきい……」
一ヶ月前にも来たし、それこそこの街で
この街を
校門を入って右手には野外修練場があり、正面には四階建ての、息を
学園に
「いつ見ても、立派な建物ですね」
「はい……はい?」
突然のことに状況が理解できず、
「技能試験であなたの強さ、見させていただきましたわ。お名前を
フェルメウス侯爵家……フェルメウス……はっ、この街の領主様だ!
そう気付いた瞬間、私は荷物を地面に置き、その場に
「わ、私は、プロティアと申します! えと、その……お、お初にお目におかかりまする!」
「ふふっ、敬語がおかしくなってますわよ。それと、立ってください」
敬語の
「ひゃ、な、何をして……」
「土を払い落としただけですわ」
そう言うと、アトラスティ様は身を起こし、私の目の前に立つ。
「私、友達というものに
「とも、だち……で、ですが、私、平民の出ですし……」
「嫌、ですか……?」
「うっ……」
「わ、分かりました、アトラスティ様……」
そう答えると、アトラスティ様は
でも、
「では、私のことはアトラとお呼びください。私の家族は、皆そうお呼びになるので」
予想外の
などとあたふたするが、アトラスティ様はその大きな目を期待に
「あ、アトラ様……」
「様もやめてくださいませ」
「じゃ、じゃあ、アトラさん……?」
「まあ、それならいいですわ」
学園に入る前から、精神的な
疲れを見せないようにすべく、深呼吸を何度か
「そろそろ行かないと、入学式に遅れてしまいますわ」
確かに、入学式まであと十五分くらいだろう。昨日なかなか寝付けなくて寝坊しそうになったため、予定よりもギリギリだ。アトラさんがこの時間に来たのは……他の人と
そんなことを考えていると、アトラさんは校門の反対方向に目を向ける。それにつられて私も視線を向けると、そこには全身を銀色の
その瞬間、ゾワッと背筋を何かが
「
アトラさんの言葉に、騎士達は左手を腰に
馬車が見えなくなると、アトラさんは小さく息を吐いた。どこか、
「では、行きましょうか」
「はい」
荷物を背負い直して、校舎へと向き直る。アトラさんの方に目を向けると、特に何も持たず手ぶらのようだ。
「どうかなさいました?」
私の視線に気付いたのか、そう聞いてくる。
「その、荷物とかないのかなー、と思いまして」
「なるほど。先んじて運んでもらっていますわ。自分で
「ダメです。バレたら首が飛ぶので」
「そうですか、残念です」
そう言いつつも、冗談だったのだろう。
今日から二年間、私の学園生活が始まる。初日から色々苦労しそうな雰囲気が
そんな
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