第2話 お姉ちゃんの楽しい学校

「では、実行委員はこの2名でお願いします」

「…はい…」

週に1度のホームルーム。

自習時間になることも多い時間だけど、今日は各委員会からのお知らせと、学校行事の委員決めが行われた。

行事の委員に立候補する生徒がいなかったため、何の委員もやっていない生徒の中からクジで決めることになり、その結果…私が委員になってしまった。

どうしよう…。

委員なんて初めて。

クラスで目立つタイプじゃないし。

小学校、中学校の頃は、お母さんとおばさんが、担任の先生にりー君のお世話のことを説明して、私には委員をやらせないようにお願いしてたし。

だけど…。

私は胸がドキドキと高鳴っているのを感じた。

緊張しているからじゃない。

嬉しくて。

中学校を卒業するまでは、りー君のお世話があるから、毎日授業が終わったら、放課後はすぐに下校しなきゃいけなかった。

高校生になってからも、週に3回、りー君の家の家事をやらなきゃいけないから、その分他の日にまとめて勉強して穴を埋めなきゃいけない。

私の弟も放課後は忙しいんだけど、私だって放課後はとにかく忙しかった。

だから今まで委員会も部活もやったことなかった。

放課後に学校で何かしたことなんてなかった。

でも、委員会活動のためとはいえ、学校に残っていいんだ。

ああでも、りー君はどうしよう?

りー君のことは好きだし、色々心配だけど、私だって少しくらいは学生生活を楽しみたい。

今の季節なら発作も起きにくいはず。

ストレスで発作が起きることもあるけど、今のりー君には特に悩みも無かったはず。

いえ、それ以前に―。

…りー君は良い子よ。

クジ引きでどうしようもなかったと事情を説明すれば、きっと分かってくれるわ。

クジで決まったんだから仕方ないよね。

放課後の学校で何かするなんて初めて。

勉強以外の為に、夕方まで学校に残ると考えただけで、今からワクワクする。

今日はりー君の家に行く日だし、さっそく話してみよう。

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