小さな喜びを見つけてしまった

 私は坂の下に行くことはあまりないが、とある発見をしてからはたまに行くようになった。いや、なってしまったと言うべきか。

 住むには少し不便(一応電車は通っているし、近くにホームセンターとスーパーもある)な多摩川付近。そんな坂下に、何故だかデカいスポーツセンターみたいなところがある。その中には併設のカフェがあるのだが、つまみを除けばどれも高いこと高いこと。それだけなら私はこのカフェには二度と行かなかっただろう。冷やし中華に、躍るプレミアムソフトクリームの文字。

 私がこのカフェに再び行こうと思ったのは、きなこ揚げパンの存在である。小学校、中学校と給食の中では高嶺の花だった揚げパン。その日限りだったからか、愛おしく思える存在だった。後になってツイストドーナツなるものを知っても、私はやはり本物の揚げパンを求めた(ちなみに私自身は本物嗜好だから、ガムはロッテに限るし、醤油はキッコーマン、マヨネーズはキューピーである)。

 つまり、このカフェに行けばいつでも揚げパンが食べられるのだ、これほど喜ばしいことはないだろう(揚げパンが確実に食べられる場所がここしかないのはちょい問題ではあるが)。

 仕事帰りに自転車を運転するのが前提だから、晴れた日と曇りの日にしか行けないが。一年のうちどれくらい晴れと曇りがあるのだろう、と考えながら私は水と蒸し鶏サラダを注文した。

 代金の節約になる以外にも、素材の味をめいっぱい感じたいのでわざとセルフサービスの水だけを飲んでいる。ちなみにこれは一人の時大抵することだったり(サイゼでもやらかしてます)。

 ああ、やっぱりサクサクのきなこ揚げパンは最高だ。ランチはこれだけでいいのではないかと思うレベル。しかしそれだけではなんか物足りない。それでも1000円いかないあたり、割と良心的な値段かもしれない。揚げパンの値段は200円ポッキリだから、もう一つだけサイドメニューを頼める。だから蒸し鶏サラダを注文した。それだけのこと。

 ちなみに今日はものすごく暑い日だったが、いつまでもこんな日が続いて欲しくないと思う。明日は雨が降るかもしれないが、また更に暑い晴れがくる。面倒くさいのだ、色々と。外に出られるのは嬉しいが、それ以上に。

 サボテンが枯れるかも知れないし、いつも水が必要になるし、熱中症で倒れるかも知れないし。

 そんなことより頭の中は揚げパンのことでいっぱいになりそうだが。今度は相方も連れて行きたい、そう思ったが相方は着いてきてくれるのだろうか⁈

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