回帰、そして行き着く先

 少し前のことだった。相方と秋葉原のらしんばんに行った時、ゼクトバッハのアルバムが、両方とも私の小遣いでも買えるような値段で売っていたのだが、相方はしっかり買ってくれた。まあ、大した値段でもないので許容範囲内だったのだろう。アルバムにはブックレットが付いていて、アーカイブとしても(のちに)重宝するようになった。

 あのゼクトバッハである。私が世界を広げるきっかけになった、あの音ゲーの曲と世界が家で楽しめるようになったというのはとても嬉しいことだった。

 ゼクトバッハは、メガテンとは別の切り口から世界の何たるかを解き明かしてくれた。「クオリア」「ミーム」という言葉を知ることが出来たのも、コレによるところが大きい。数式は概念的にしか知らないものの、あまり困ることはない。

 情報、意識、量子。絵空事の世界でこそあれど、遠い未来に「永遠」は実現するのではないだろうか。量子力学を超越した上で人間の魂をデータ化して、適当な人間に憑依した後に人格を喰らい(上書きして)、意識を接続することを数十年おきに繰り返すことで、一部の人間は永遠を生きることが出来る。また、死体からDNAを抽出してクローンを作った上で一連の作業をすれば……。

 このことを相方に言うと、「メタバース的だね」と返ってきた。いや、「もはや魔法」って言われるのかと思ったんだけど。ちなみにこの技術を生み出したのは、かつて「魔女」と呼ばれた貴族の女性(めっさオバハン)なのだが、よりにもよって17世紀のマジャル人(今のハンガリー)だという……。他人の生き血を啜る趣味はないが、夜な夜な自身の美を保つ為に若い娘の血を浴槽に……もうここまで来ればお分かりだろう、日本でも彼女のことはよく知られてるし。彼女にはもう一つ、黒魔術や錬金術にどハマりしていたという一面があったのだが、錬金術は突き詰めれば現代の科学の基礎である。だからこそ、私は科学者として研究熱心な一面を描いた。

 悪女ではあるが、血族(というか孫)にはやたらと甘い一面も見せてくれる。毒を以て毒を制する為には必要不可欠な存在としてデザインした(ちなみに孫娘の元ネタはカスパーハウザー)。

 尤も、あまりにキャラが濃すぎるせいか「どっちが悪役か分からない」という問題も孕んでいる。これこそが私の狙いではあるのだが。

 私自身、実在した歴史上の人物をパクるのはコレが初であるが、成功はしたのだろうか。なんだか他の人とは違うパクリ方をしたせいで自信がないのだ。

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