どんどん増えていく……

 治安が悪い尼崎から来た相方曰く、「君が住んでいる街が羨ましい」とのことらしい。「いやー、住むにはキツイですよ」と言っても引き下がる気配は感じられず、それどころか「綺麗で整備が行き届いた街に住みたいオーラ」が嫌というほど感じられる。確かにあの街はファミリー層や、女性が住む街としてはこの上なくいい街ではある。だとしても、こちらとしては物足りないのだ。

 いつくらいからだろうか、私は子どもの頃からぬいぐるみが好きだった。集めて遊ぶ以外にも、今は資料としても使っている。絵ではなく小説の、だが。恐竜や海洋生物以外にも、食べ物や文房具などといったラインナップが増えて、ぬいぐるみの世界もますます賑やかになった。私がありきたりな種類のぬいぐるみに興味を持てないのもその為であるが、可愛らしいデザインだからか、誰も何も言わなかった(あのブースターでさえかわいいデザインで、私は一目惚れしたこともあり、800円で取ってベッドに置くようになった。まだ高校生の時のこと)。

 普通のぬいぐるみとはなんだろう。テディベアなんかはよくあるが、別に女の子の部屋にあるのがくらげやらいるかやらティラノサウルスでもいいとは思うのだが。何故かバリエーションは少ない。「ダンボールといえばみかん」くらい少ない。

 世界初のぬいぐるみ誕生は意外と遅く、19世紀の終わりくらいに、ドイツのどっかにあるというシュタイフ社で生まれた。ルーズベルト大統領がクマを逃したニュースが一人歩きするちょい前くらいのことである(この話が元でテディベアが生まれた)。なろう系とかでは多分普通にこの話がすっ飛ばされているだろうけど。少なくとも、昭和の頃までは動物園にいるような動物のかわいいぬいぐるみくらいしかなかったことを鑑みると、ここ数年で(クレーンゲームの景品だけを見ても)かなり種類が増えている。小鳥以外にもウーパールーパーやら深海魚やら。果てはエビフライやらだんごだのまで出てきた。こうしたぬいぐるみを追いかけるのも私の楽しみの一つである(ちなみに相方は地味にクレーンゲームが苦手であり、一つ取るのに数千円かけていた)。

 大体大人にとっての使い道は、クッションかインテリアだろうか。ぬいぐるみは子どもだけのものではないのだ。

 私がぬいぐるみを買ってもらった時、何故か普通にちびっこ扱いされたことがある。が、それでもぬいぐるみを集めるのはやめない。やめようとは思わない。部屋から溢れそうになったらいくらかは売り飛ばすが。

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