あけおめ☆寝起きのカード対決

(あけましておめでとう御座います。今年もよろしくお願いします)


例年通りのお正月がやってきた。寒くて眠すぎるお正月が。おせち料理を祖父母の家で食べるが為に、朝食を食べられないお正月が(一応、電車で一時間圏内なら耐えられないこともない。ちなみに祖父母の家は、歩いて二十分)。自転車を寒空の下で漕ぎ、叔父に挨拶をしてから中に入ると、温かな居間には祖父がいた。

 どうも私が一番乗りのようで、遅刻という訳ではなかったようだ。その事実に安堵した後、私は仏壇の真ん前に座ってスマホをいじっていた。

 次々といとこ(プラス弟)が来てからは、ちゃぶ台の上にある色とりどりの料理が次々と手をつけられる。しかも角煮や雑煮が後からやってきて、いつの間にか(朝食にしては)かなりの量になっていた。

 その後は、みんなで大富豪をしようということになったのだが、7渡しやら8切りなどを採用したルールの元で対戦をした(12ボンバーはチートすぎて採用しなかった)。一方で神経衰弱やババ抜きは完全勝利には至らず、初詣(10円入れた)の後にした「ナンジャモンジャゲーム」に至っては……。

 一回戦はお茶の名前が大量に出てきたせいで(分かりやすい名前の方が稀)、苦戦させられたがこれはまだ序の口に過ぎない。問題は二回戦目、いとこが最初の一人に「おーい、磯野」と付けたこと、私が二人目に「足」と付けたせいで、ややこしいことになってしまったのだ(本来は「おーい、磯野。野球やろうぜ」までが正式名なのだが、あまりにも長いので削った)。それだけではなく、この「おーい、磯野」があまりにもツボに入ってしまい、私の魔女さながらの笑い声を他の四人はゲーム中盤まで聞く羽目になるのだった(あまりにも長過ぎて引かれる程)。

 その後はダウト対決に入るも、最初の内はペースが掴めず(まだ眠かった)、中盤になってから漸く「ダウト」宣言を欺けるようになった。しかし、最終的には負けてしまい、悔しい思いを新年早々する羽目に。

 ここまで書いてきたが、書いている時点でまだ昼間。意外と一日は遅く過ぎているのだろうか、それとも早く過ぎているのだろうか。お腹もさほど空いていないし、電車は橋本に向かっている。車窓からは青空が見え、昨日雪が降ったという事実が嘘のようだ。新しくもノスタルジックな陽光は、優しく私達を照らしているが、話している内容はゲームのことばかりである。未だに眠い私は、もう少し寝ておけば良かったと後悔しながら頭の中でバニラちゃんのことをぼんやり考えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る