デジタルな思い出は灯火となって
私が攻殻機動隊というコンテンツを知ったのは高校生の時だった。きっかけは曽祖母の葬式が執り行われた時。会食の席で遠い親戚の叔母が私に話しかけて来たのだ。その日の彼女はとてもフレンドリーで、私が知っている漫画や大好きなゲームの話を沢山した。その日からほんの少しだけだが彼女とメル友になったのだ。
私は、当時主題歌程度しか知らなかった攻殻機動隊を彼女から教わったが為に世界が広がると同時に、沢山の知識を得た。今まで自力で得た知識が霞んで見えるくらいに。同時に私は今の今まで井の中の蛙だったのだと思い知らされたのだ。それくらい、攻殻機動隊との出会いは衝撃的だった。古今東西の哲学、社会問題以外にもタチコマちゃんたちの存在が、以後の私のベースになっていった。
ある時、私は「イノセンス」という映画の話を彼女から聞かされたのだが、これが押井守の存在を知ると同時に思い込みを解くことになる(押井守を意識し始めたのもこの頃)。映画の存在そのものは中学の時に美術の資料集で知ったのだが、当時は神聖な物語だと思っていたと同時に、近づきがたかったので詳しい内容までは知らなかった。真相を知ると同時に、私はイノセンスに興味を持ち、調べ始めるのだが肝心の内容はフィルムコミックで補完するという横着っぷりである(立ち読みで頭の中に入れた)。この経験がもととなり、私の中には話のレパートリーが間接的にだが増えた。
高校生が攻殻機動隊を知っているのは稀なようで、当時私の周りにはそんな人は別のクラスを受け持っていた先生か、児童館の人くらいしかいなかった。それでも、私にとっては思い出深い作品であり、大好きなゲームとコラボした時は素直に嬉しかったことを覚えている(嬉しすぎてタチコマ牧場を作ろうと思ったほどだ)。
ちなみに、攻殻機動隊を知って嬉しかったことは他にもある。アレのおかげで美術で最高評価になったのだ(厳密には実験を繰り返した他、攻殻機動隊以外に.hackの要素も入ってはいるのだが)。攻殻や.hackのような電子回路を抽象画に持ってくることで、新しい世界が表現できるようになったことはとても嬉しかった。大多数の人はこの事実を全く知らない(言ってないから)。
私の世界では、今も何らかの形で攻殻機動隊が息づいている。それは音楽かもしれないし、思想やメッセージかもしれない。見えない形でも確かに私は影響されている。楽しかった思い出を組み込み、守っていくために。
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