メイドさんがいるところ
遠い昔のこと、私がまだ小さい頃の話だがメイドさんはメイドカフェだけにいるものだと思っていた。テレビでメイドカフェが紹介されていたのもあるだろう、メイドさんのイメージは世間でもそんな感じだったのかもしれない。ある日、(この出来事は小学校の時くらいか?)母がドラクエをプレイしていた時のこと。私は、城の中で働くメイドさんを見て、
「どうしてメイドさんがお城にいるの⁈」と聞いた。それに対して母は、
「メイドさんはね、普通お城やお屋敷にいるものよ」とかなり冷静だった。それほどまでに、当時の私にとってお城で働くメイドさんの存在は衝撃的だったのだ。この誤解が解けたのがいつなのかは分からない。けれど、そこそこ後に解けたことは覚えている(メイドカフェにいるのはウェイトレス)。
さて、メイドさんというのは接客業の人ではなくれっきとした使用人であるが、階級も業務も大きく分かれている。一生その階級というわけではなく、運が良ければ昇進が出来た。多くは貧しい家の人であり、実家に仕送りをしたり兄弟に土産(に相当するようなもの)を持って帰ったりしたという。普通の、ちょっとだけリッチな人は一人だけメイドさんを雇ったというが、城や大邸宅ではさも当然のように沢山の使用人がおり、中には百人近くの使用人を抱えていた貴族や王族もいるとか。ちなみに女の使用人は男の半分の人件費(給料)で雇えたので、酷使されたとかされなかったとか。
メイドさんの制服であるメイド服について。メイドカフェのメイド服(ウェイトレスとしての飲食店用制服)は見栄えを良くする為に、フリルやらなんやらの装飾が入っているが、モノホンのメイド服はそうでなく、寧ろ身分差を明確にする為に人前に出る時でさえ、黒い布地のドレスにエプロンという格好であり、当時は今と違って脚を出すことははしたないとされていた為に、ロングスカートだった。何から何まで今とは違っていて、中には羨ましいと感じるものもあった。時代が時代だったらお嬢様暮らしが出来たかもしれない。
メイドカフェがある理由を自分なりに考察してみたが、あの喫茶店はメイドさんに対して偶像めいた見方をしているから出来たのかもしれない。そうでなければ、あそこまでアイドルめいた衣装は着ないだろうから。しかし、リアルのメイドさんは明らかに階級分けがされていたり、そもそもメイドさんという単語にそぐわない汚れ仕事もしている。メイドカフェに通う秋葉原の人たちがこの真実を知ったらどう思うだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます