中毒の迷宮

 意外にも知らない人が多い入り口。ふとしたきっかけで足を踏み入れたら戻ることはまずないだろう。居心地がよくなってしまったから。

 世に蔓延る中毒といえば、アルコールがメジャーだろう。他にも薬物やらなんやら、中毒という言葉にはネガティブなイメージがまとわりつく。だからこそ知らないのだろう、入り口が側にあることを。卑近な例でいうと、マヨネーズやらキャンディなんかがそうである。シェイク中毒という人も世の中にはいるらしい。

 中毒は何も食べ物に限ったことではなく、音楽やら小説などの娯楽にもついて回る(ゲーム廃人もそんな感じなのだろうか?)。所謂電子ドラッグと呼ばれるものもそれにあたるだろう。そういった作品はえてして魅力があり、何度も繰り返し見聴きしたくなるのだ(初音ミクなどのボーカロイドにも電子ドラッグは存在する)。そうして考察などを進めていくうちに、「この曲には深い意味があるんだ」で終わらず奥深くまで追い求めていく。謎が多ければ多いほどその傾向は強くなるだろう(私はそういう作品を作りたい。だから謎だらけなのだ)。

 中毒そのものは、受け入れる側にも素養がなければいけない。夢中になってしまえる(全てを捧げられる?)条件は、何らかの不満があること。それが多ければ多いほど、中毒症状は深刻化する(違うかもしれないが、私は少なくともそう感じた)。ついでに、ビビビッとくること(琴線に触れること)も条件の一つと捉えていい。この二つが揃い、なおかつ他の何も省みなくなったならあなたは立派な中毒者である。

 現代は、「一病息災」と言われるほどに、特有の病気が多い。中毒もその一つと捉えられるし、人によっては「心の持ちようだ」と叱り飛ばしてくるかもしれない。根性論が通用しないほどに繊細で複雑なのが現代社会なのだが。アレルギーやら鬱病とともに現代病としてカウントした方が私はいいと思っている。

 ちなみに、中毒自体は上手く利用すれば良い結果を生み出すことができる(過集中)。分かりやすい例を挙げるとすれば、ゲームでスコアを更新したりいい作品を生み出せたり。私も高校一年の終わり頃にこれを発揮し、いい作品を生み出した(美術の授業で心象風景を描こうというのがあったのだが、その際に色々実験したせいで最終的に「美大生レベル」と言われたことがあった)。かのピカソも、一カ月かけて一心不乱にゲルニカを描き続けたとされるし、夢中になって打ち込めることは楽しいことでもある。リアル生活との兼ね合いが大変ではあるが。

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