名付けのおまじない

 ペットの動物には何も考えずに名前をつける人が多いが、人の名前にはほぼ必ず意味があると考えていい。画数の場合も、おそらくは姓名判断の時にいい結果が出るからそういう名前になるのだろう。ただ、これは日本の話。海外ではどうなるのかというと、ヨーロッパやアメリカなどでは聖書の登場人物から取った名前が一般的である。もちろん、違う例も確かに存在するが、それでも「伝統的な名前」として今でも一定数いるとみて間違いない。

 昔、小学生の時にクラスで「名前の由来を発表しよう」というのがあったのだが、その中で一人だけ

「両親が適当につけた」と言っていた子がいた。大分後にそれを思い出した私は、そんな筈はないと思い、該当する漢字の意味を調べたのだ。そうしたら、一文字でとてもいい意味を表す漢字だった。これを見て、私は「よく考えてるじゃん」と思った。

 日本においては人名に使用してはいけないとして、名前に使うことを避ける文字がいくつも存在する。凶字というのだが、意外とポピュラーな漢字がここにカテゴライズされていることがある。古来から、日本では言葉に魂が宿ると信じられてきた(俗に言う言霊)。それが人の名前に適用されるのだ。連想ゲーム形式もあれば、明確な由来がある場合もある。あえて魔除けとして悪い名前をつけるケースもなくはないが。最近は流石に見かけない。

 名前に意味を持たせるということは、名前で人を縛るということでもある。昔から、名は体を表すというように名前はその人を表す看板としても作用してきた。ただの個体識別用記号に意味を持たせるのもおかしな話ではあるのかもしれないが、私としては寧ろかっこよくていいと思っている。ロマンが内包されているからだ。むしろ、一生に一度与えられる名前だからこそ意味を持たせた方がいいとも思っている。けれど、その時は書きやすくわかりやすい漢字で、誰にでも読みやすい漢字を選んだ方がいい。というのも、あまりに読みにくいと間違えられるし、書きにくいと本人が後で苦労することになるからだ。別にクラシカルな名前にしろとは言わないが、かといってキラキラネームもよくないと思う。

 日本には沢山の苗字と名前があり、ありふれたものでも響きがいいと感じられるものがある。私自身は自分の名前を気に入っているかというと、コレが私の名前だからとしか言いようがない。無論、ペンネームは別であるが。ペンネームは自分でつけることが多いので、自分で自由に意味を持たせられるのだ。考えようによっては、自縄自縛しているともとれないことはないが。

 

 

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