課金魔の夜

 一昨日の話である。遂に私は禁を破ってしまったのだ。というのも、私自身クレーンゲームや音楽ゲーム、欲しいグッズの為にお金を使うことこそあるが、自分の運に頼っていることもあり、課金をしたことはなかった。そんな私が何故課金をしたのかというと、欲しい衣装があったのだ。

 というのも、課金(俗にいう石購入)で手に入るコーデセット一式があり、それが目当てという訳ではない。ちなみに金額は490円。実は、私がプレイしているそのゲームは、女の子を着せ替えて楽しむものなのだが、ガチャだけでなく衣装を制作して(ドロップした衣装も材料になる)コーデセットを揃えるゲームでもあるのだ。私は、その中でも欲しいドレスがあったのだが、費用が足りずに困っていた。ならばと思い、ガチャで重複した衣装を売り飛ばしてコインを少しでも多く手に入れようとしたのが理由である。結果としてコインは増えたものの、それでも足りない。とはいえ、一日で稼げる量をある程度カバーすることが出来たので満足ではあるのだが。

 問題はその恐ろしさである。バレるかと思っていたので生きた心地がしなかったのである。一応その時は後からバラしたのだが。それでも長いこと無課金で遊んできたこともあり、罪を犯して逮捕されるような気分にもなった。このエッセイはある種の懺悔なのである。今まで経験したことがなかったのでそれくらいショックが大きかったのだ。

 その後に悪友からかかってきた電話でそのことを話したら、

「それくらいの金銭感覚がちょうどいい」とのこと。これっきり、二度と課金はしないと決めているが、またいつ手を出すかは分からない。何より、ゲーム内でいとも簡単に、場合によっては誤操作で石が一気に手に入れられてしまうことがとても恐ろしく感じられた。逆を言えばそれだけ手軽だということでもある。だからこそ課金をする者が後を絶たないのだろう。

 逆に悪友は、課金を万単位でしたことがあるようだが、いつまで経っても欲しいキャラクターが手に入らず、遂にはそのゲームが終わってしまった。もちろん、掛けたお金は返ってこないし景品くじやクレーンゲーム(取れた場合)と違い、何一つ手元に残ることはない。その為なのか、逆にリセマラを一度だけしてその日の夜に強いキャラクターを手に入れた私を羨ましがっていた。尤も、私自身はそのせいで再びリセマラをすることが出来なくなってしまったのだが。怖がり過ぎかもしれないが、これで課金の恐ろしさを認識出来たように思える。何より、いずれは終わってしまうサービスなのだから、これくらいが丁度いいのだろう。使い切れない程の金があればまた変わるのだろうが。

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