雪の日の告白

味付きゾンビ

ロマンチックからは程遠い

 12/30 午後14:38


「雪、やまないね」

 外を見る彼女の声が響いた。

 響いたというか反響した。

「そっち行かなくても見えっけどな!」

 洞穴の入り口に向かって声を上げる。

 張り上げるといってもいい。だって外は洒落にならない吹雪で、洒落にならない風速で僕たちは何とかかんとか逃げ込む先を探してこの洞窟というか洞穴というかにたどり着いたのだから。

「駄目だー、なんも見えんや」

 ドスドス音を立てて彼女が入り口から戻ってくる、足元を見てこんな時はスノボのソフトブーツが羨ましくなる。とりあえず自分のスキー用のブーツのバックルを緩めて一息をつこうとして、血の匂いに改めて気付かされてしまう。

「無線の調子は?携帯は?」

「駄目。携帯圏外、無線応答なし。止むまでここに居るしかないんじゃないか」

 足首を緩めて、ブーツの中で足を伸ばして僕は息を吐いた。

「……アレと一緒に」

 なるべく目に入れないようにしながら、頭を振って自分の後方にあるものに意識を促した。

 彼女のスノーボードの上に載っている、知らない男の死体へと。

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