第42話 パワハラの基準値は世代によって変動する
金田名誉教授は、事務所で一人でスマホの画面を見ながらにやにやしていた。
そこに、腹黒たぬき事、金田名誉教授に急遽、呼び出しを食らって、イライラしながら事務所に入室する被害者が一人。
新海教授であった。
新海教授は、人を呼び出して一人スマホ画面を見ながらにやにやしている金田名誉教授に問う。
新海教授「こんな深夜にラインで『緊急事態発生!!すぐにテンダー会事務所集合!!これは業務命令だ!』って部下を呼び出しておいて、呼び出した張本人がスマホの画面見てにやにやしているって。これ、新しいパワハラですか?」
おそらく、寝ている所をラインの通知音で起こされた挙句、この仕打ちである事にイライラを隠せないのであろう。
そんな新海教授の姿を見ても、金田名誉教授は、にやにやした顔をやめない。
金田名誉教授「まさか、本当に来るとは思わなかったよ。ははは」
新海教授「パワハラで訴えますよ?」
金田名誉教授「パワハラってゆうのは、受けて側がどう思うのかで変わると思うけどなー。だって、昔、だったらこんなん世間公認で日常茶飯事だったんだよ」
新海教授「あの、受け手側は俺です。後、昔と言えど、こんな糞理不尽が世間公認とか、聞いた事ないんですけど」
金田名誉教授「あらま。時代は変わったのね。ちょっとしたことでパワハラで訴えられるなんて怖い怖い」
新海教授「あんたが一番怖いわ」
金田名誉教授「まあ。緊急事態ってゆうのは嘘ではないぞ」
新海教授「どうせ、自分が好きなアイドルが結婚したとかでしょ」
金田名誉教授が差し出してきたスマホを画面をやれやれと呆れた感じで新海教授は確認すると目つきが変わった。
新海教授「これは、本当ですか?」
金田名誉教授「うん。君の親友の八木教授からこんな連絡が急に来たからびっくりしちゃったよ」
金田名誉教授のスマホの画面には、ラインで八木教授から連絡が来ていた。
八木教授『おひさしぶりーっす。酔っぱらってスマホ落としちゃって、返事返せなくてごめんねー。こないだ、たぬき教授から借りてた東大の過去問集、田中の東大受験終わったら返すからしばらく借りておくねー』
完璧に上司に対して送るラインの文章ではなかった。
友達か、なめ腐ってる先輩に送るレベルの文章であった。
眉間にしわが寄り始め、怒りが隠せない表情になった新海教授を見て、金田名誉教授は、相変わらずにやにやしながら話す。
金田名誉教授「そうゆう事らしい。見事に予想が当たって、君の親友の八木教授復活したね」
新海教授は、拳に力を込めて叫ぶ。
新海教授「だから、親友じゃねえええええ!!!決めた!!!絶対、あいつは、東大受験本番で消し飛ばす!!!!」
怒りながら、事務所を出ていく新海教授の背中を見送りながら金田教授は不敵な笑みを浮かべる。
金田名誉教授「どっちが勝つのか楽しみだね」
八木教授と新海教授、田中と鈴木、そして、金田名誉教授達…
それぞれの思惑が交差する中
時間はあっという間に過ぎ去っていき
遂に、センター試験当日を迎える。
つづく
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