第3章 再始動‐リブート-編

第30話 久しぶりに元同級生と再会した時に覚えてない時の探り感は大人の処世術だと思う

       ー第2部ー


 完全に忌まわしき、あいつのプライドの翼を折った


俺自身の手で。


長かった。あの日から始まった20年掛かった忌まわしき因縁を断ち切った。


 20年前、あいつに言われた一言


 「目障りだ。話しかけないでくれ」


あの一言を言われた当時の俺は何も言えなかった。


それから、俺の人生のターニングポイントで現れやがるあいつ。


いつもあいつは俺の上に居た。


東大入学式の時に、久しぶりに会って、あいつに声を掛けた時に返ってきたあいつの一言


「ん?誰だっけ?」


あいつに取って俺は、存在すら知られてなかった。


「東大主席取ったけど、なんかつまんなかったなー」


あいつの言葉、全てが俺の憎しみを増大させる。


そして、俺は、あいつを俺自身の手で初めて、奈落の底に叩き落とした。


プライドの塊のあいつは、翼を折られてもう、戻って来ないだろう。


最高の気持ちだ。


真剣な顔を意識していても、嬉しさから笑みがこぼれ落ちそうになりながら、新海教授は、弟子の鈴木を連れて、テンダー会本部内の金田名誉教授の部屋をノックした。


金田名誉教授の間延びした「はーい」という返事を合図に、2人は扉を開けて部屋に入り挨拶をする。


新海教授「お疲れ様です。金田名誉教授。私の弟子の鈴木と共に生放送対決の結果報告に参りました。」


新海教授はこぼれ落ちそうな笑みを消し、真剣な顔で金田名誉教授に鈴木と共に会釈する。


部屋にある椅子に座り、机に片肘付いて不敵な笑みでスマホを弄る金田名誉教授。


金田名誉教授「おお。お疲れ様。結果報告って言っても、生放送で見たから別に結果分かってるけどね」


新海教授「ご拝聴いただきありがとうございます」


金田名誉教授「おめでとう。所でさ。八木教授に貸してた物あるのに、LINE送っても既読すら付かないんだよね。友達でしょ?なんか知らない?」


金田名誉教授から出た八木教授の話題に新海教授の顔は強張る。


新海教授「いえ。知りません。あいつは友達ですらありません」


金田名誉教授「え?友達じゃないの?元小学校からの同級生でしょ?」


新海教授「元同級生だから友達という言葉は違うと思います」


金田名誉教授「相変わらず固いね君は」


新海教授「あいつは、俺の手で完全にプライドを叩き潰しました。今度こそ、もう、戻って来ないです」


金田名誉教授「そうかなー。彼は意外にしぶといと思うよー。ねっ!真田会長!」


新海教授「え?真田会長?」


新海教授と鈴木が金田名誉教授が声を掛けた先の後ろを振り向くと、真田会長が立っていた。


新海教授と鈴木はあまりの衝撃に驚いて立ちすくんでしまった。


真田会長「久しぶりだね。新海教授。そして、2人ともおめでとう」


つづく


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