第12話 気にしなければあっという間に過ぎる10分なのに

八木教授と新海教授はお互いに激しくにらみ合っていた。


新海教授「ここで、お互いにグダグダ言っていてもしょうがない。東大受験に合格させたほうが勝ち。結果が全てだ。」


八木教授「友達いなすぎて話相手欲しいです~。のロボットマンのカウンセラー代金もらいたいんだけどなー。お前の相手で人生の大事な10分間無駄にしてるのになー」


新海教授「相変わらず、憎まれ口の叩くやつだな。また、近い内に会うことになるであろう」


新海教授は、かなりムッとした顔をしながら、そう言って八木教授の前から去っていく。


アパートの階段を降りていく、新海教授の背を睨みながら、八木教授は無言で人差し指を立てた。


八木教授は、部屋のドアを閉めて、ドアに背中を寄りかけた。


八木教授「ぜってえまけねえ・・・」


八木教授は、顔をこわばらせながら小さく呟いた。


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新海教授は、八木教授と別れた後、駅前の道を歩けながら、スマホで電話を掛けていた


新海教授「お疲れ様です。新海です。開戦の準備は整いました。後は、手順通りでお願いします」


電話越しの相手は、陽気な声で言った。


「さすが新海くん。じゃあ、TV局にGOサインだしちゃうねー」


新海教授「しかるべく。完全なるプライドの翼撲滅の為に」


電話が終わった、新海教授はにやりと不敵な笑みを浮かべた。


駅前の道を歩いていた新海教授に汚らしいホームレスのような見た目をして座り込んでいたおじさんが声を掛けてきた。


「200円くれたら当ててあげるよ」


それを聞いた新海教授は、立ち止まり、そのおじさんに冷たい目線をやった。


新海教授「都市伝説とやらで噂の200円おじさんか。お前のような非現実的なものは私は信じない。その200円あげたら当てられるというなら、自分で200円使って宝くじを当てればそんな生活してないだろう?つまり、お前のは嘘っぱちだって事だ」


200円おじさんは、黙り込んでしまった。


新海教授「お前のような戯言をほざいてるやつを見ると、あの糞野郎を思い出してムカつく。そんなくだらない戯言ごっこなど辞めて、まじめに働き先を探したらどうだ」


そう言い捨てて、新海教授はその場を立ち去り、駅へと向かって言った。


200円おじさんは、しばらく黙り込み、小さく呟く。


200円おじさん「世間の心がどんどん冷たくなっていくな・・・」


200円おじさんは、寂しそうな顔をしていた。



つづく

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