第23話 殺意

どんなに辛くても死にたいとは微塵も思ってはいけない。

偽善で詭弁に聞こえるかもしれないが、自殺だけは絶対にしてはいけない。

どんなに過去を殺したつもりでも、その死体を掘り返す奴らが出てくるだろう。

けどそんな奴ら気にしなくて良い。

明日を生かせるのも、殺せるのも君だけなんだ。

じゃあ死にたくなった時、ツラくてツラくて消えてしまいたくなった時、どうすればいいか?

答えは簡単、殺したいと思え。

こんな理不尽な状況を、日々を辛くしている元凶を、殺したい殺したいと憎んで恨むんだ。

憎悪し、嫌悪し、この世の全てを嫌って憎むんだ。

この世界は矛盾だらけで、矛盾を原動力にして廻っているといっても過言ではない。

大きな矛盾の1つで言えば、全ての事は解決しないんだといった解が、案外全ての事を解決しているって所だ。

多くの人間もまた、矛盾を抱えながら日々を過ごしている。

人に悪意を働いておきながら、悠々と善意を語って見せたりする。

かく言う僕も、世界の破滅を願いながらも同じだけ世界の平穏を願うといった矛盾を抱えている。

アンドロイドだって矛盾を抱えている。

人間より優れた存在であるのに、人間に近付こうとする所だ。

矛盾は何処にだってある。

だからこの憎しみも嫌悪もいつかは変化して好意や趣向になってしまう。

時間が勝手にそうしてしまう。

そうすれば少しは気持ちも安らぐ。

毎日を乗り切る原動力は殺意だ。

他人を殺し、自分を殺し、僕は毎日をなんとか生きている。

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