第一章『星の涙が降り注ぐ街』 その0
七年前の七月七日、七つの流れ星が
そいつは、星が流した涙。星々はいつだって、
そのためだろう。地上に落ちた《星の涙》には、不思議な力が秘められている。
なにせ、そいつは願いを
世界には悲劇が
だからこそ《星の涙》は奇跡を起こす。
過ぎてしまった失敗を。取り返しのつかない過ちを。もうとっくに失われた、いちばん大切な何かを──取り戻す手助けをしてくれる。あり得ざる奇跡をもたらしてくれる。
この石の力を使えばきっと、君の手には、なくしてしまった《いちばん大事なもの》が戻ってくる。取り戻せない過去を取り戻してくれる、この地上にただひとつの奇跡。
けれど、忘れてはならないことが、ひとつある。
代償のない奇跡はない。どんな奇跡だって無償じゃない。この世界に、ただ与えられるだけの救いなんて、どこを探しても存在しない。
それでも君が、いちばん大事な何かを取り戻したいと願うのならば。
──そのとき君は、きっと二番目に大切な何かを、代わりに失うことになる。
だけど、それはやっぱり奇跡なのだ。
最も大切な唯一のためなら、それ以外を犠牲にしても構わない。そうだろう?
それすら本来は望めない交換、叶わない願いなのだから。文句のあるはずがない。
だから。もしも君に、現在を犠牲にしてでも、取り戻したい過去があるのなら。
そのときは、奇跡の石を使うといい。
この街に伝わる、《星の涙》という都市伝説さ。
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