07 罪のない市民を犠牲に



 ただ生まれた国が違うだけだったのかもしれない。

 ひょっとしたら、この国の者達とも苦楽を共にする事ができたのかもしれない。


 けれど、少女は復讐をせずにはいられなかった。

 ただ、目的を果たすためだけに動いていた。


 優しく慈愛のあった少女はもう死んだのだ。


 少女は魔術を完成させ、その国を焼き払った。


 大人も子供も、男性も女性も、老人も。

 病人も、けが人も。

 悪人も、善人も。


 すべての人間を。


 真っ赤な炎に包まれる国中で、苦しみに悶える人々。

 助けを求める声を聞いても、少女は止まらなかった。


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