第13話 お出掛け 〜寒空の海〜

 辺りはすっかり日が落ちてしまった。

冬は、すぐに陽が落ちると実感した。


 永人は、純斗の肩に頭を置いている。


 「ねぇ、純斗。ありがとう。」


 どうしたの、急に、と言うと肩が軽くなった。


 「俺が、告白した日の事覚えている?受け止めてくれた事本当に嬉しかった。純斗を好きになれて良かったって心の底で今思ったんだ。」


 目尻が下がり、優しい目で純斗を見た。

 冬って人恋しくなるって本当だね、と純斗に抱きついた。


 「あったかい。」


 純斗の胸に顔を埋める。


 「寒いんなら、車の中に入ろう?」

 「やだ、もうちょっと。この寒空で好きな人にくっついていたい。ダメかな。」


 上目遣いで言われると、NOとは言いづらい。


 「なぁ、永人……。」


 純斗の問い掛けに上を向く形になる。


 そのままじっと見つめていると、永人は恥ずかしさでまた下を向こうとする。

永人の腕を掴み名前を呼んだ。


 「何……?」


 今度は、下を向かせない様に顎を上にあげた。

永人の顔がみるみるうちに赤くなっていくのがわかる。

潤んだ瞳が、純斗の理性を崩壊させる事を、永人は知らない様だ。



 「キスしていい?」


 目を真ん丸くあけ、暴れる。


 「何でそんな事聞くの!?さっきは、勝手にしたくせに。聞くなよ、恥ずかしいじゃん。」

 「じゃぁ、していいって事?」


 「んー、だから聞くなって……。」


 「永人の口から聞きたいかな〜。」意地悪く笑って見せた。

 「……ばか。して……、ほしい。」


 その言葉で純斗の理性が少し崩れる音がした。


 優しいキスをするつもりだったが、それは出来なかった。




 「ん、あぁ……。」


 永人の漏れた吐息が、静かな海岸に響き渡る。


 少し強引に舌で口をこじ開け、永人の温もりを脳内で感じながらキスをした。


 永人は、必死に純斗の息に合わせてついて来ようと必死だ。

お互いに呼吸が乱れ始め、永人は純斗の胸を叩いた。


 理性が完全になくなる前に、離れた。


 永人は肩で息をしている。目は潤み、顔はほんのりピンクに。

純斗を思いっきり睨んでいるが、可愛すぎて怖くはない。


 呼吸が落ち着かない永人を優しく抱きしめた。


 「苦しかった?」

 「はぁはぁ……。激し過ぎ……。死んじゃうかと思った。」

 「ごめん、ごめん。可愛過ぎて。」


 「なっ!?変態。」


 おいおい変態扱いかよ。


 強く抱きしめ今の思いをぶつけた。


 「永人、俺、お前の事結構好きなんだよ。自分でも分からない。男が好きってわけじゃなかったし、永人に告白されてから意識する様になって、気づいたら今に至っている。理性が飛びそうになる。大事にしたいと思う気持ちの反面、理性と戦っている。好きって言ってくれた永人を傷つけたくない。仕事に支障をきたす事は絶対にしたくはないし。仕事もお前の事もどっちも大事にしていきたい。俺、永人が思っている以上に永人が好きだからな。」



 純斗の突然の告白に、永人は黙ったまま泣いているのがわかった。





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☆作者より☆

大変長らく更新ができず申し訳ございません!

待っていただいていた方がいるならすみません。。

引き続き私共々よろしくお願いします!!

               紫苑れんな

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