噂の西園寺家の事情
風間 シンヤ
あれからもう何年も経ちました……
「ふ〜ふ〜ふ〜ん〜♪」
私、
私の年齢は次のクリスマスがくれば50という、もう本当に「ババァ」と言われてもおかしくない歳になりました。ですが、かつて教職についていて29歳で結婚出来ずに、「行き遅れのババァ」と言われ続けバカにされ、気にしない素ぶりをしながら、実は結構心にきていたあの頃の私とはもう違います。誰が私の事を「ババァ」と蔑んできてももう気しません。
何故なら、私には最愛の人達がいるから……
「真由美お母さん。おはよう」
「あっ、
「ん。ありがとう」
私の褒め言葉に若干照れたように頰を染める私の最愛の娘の1人で長女の遥美。今日から、私がかつて教鞭をふるっていた
その顔立ちは美少女のソレで、かつて通った中学では全男子生徒に告白されたという伝説を残している。黒髪の肩までの伸びた髪のミディアムヘアー。その長さからは考えられないサラサラとなびく髪は男性を虜にしてしまうのも頷ける。本当に私じゃなくて最愛の人の遺伝子を継いでくれて良かったと思う。そんな彼女は現在目が悪くもないのに眼鏡をしている。本人はあまり目立つモテ方をしたくないからと言っているが、その眼鏡が逆に理知的な美少女の雰囲気を醸し出して逆効果になっている気がする。
「あぁ〜!お姉ちゃんばっかり!褒められてズルい!ねぇ!?ねぇ!?真由美お母さん!私は!?私は!?」
私に飛びつくように元気いっぱいに尋ねてくるのは、この辺りで1番の有名私立中学に通う事になった三女の
黒髪のお気に入りのツインテールをピョンピョン跳ねらせてる姿が今日も可愛らしいので、私は「美香も可愛いわよ」と言ってあげると、太陽のような眩しい笑顔を見せてくれた。うん。私こんな愛らしい顔立ちじゃなかったから、この娘もあの人似で本当に良かった。
「ふわあぁぁ〜……みんな……おふぁよう……」
最後に現れたのは次女の
「真由香!すぐに顔を洗って着替えてきなさい!!」
私の声に、真由香は「ふぁ〜い……」と言いながらノロノロと洗面所に向かった。本当に大丈夫か心配になるが、いつもの事なので気にしていても仕方ないか……
「それにしても……制服……出来れば
遥美のそんな何気ない一言に、私は「そうね……」と同調するように呟く。
「けど、大丈夫よ。遥美。きっと遥香お母さんならあなた達の成長を遠い所から見守って……」
「真由美〜……何私を死んだみたいに扱ってくれてるのかなぁ〜……?」
遥美が珍しく冗談を言ったので、それにたまには乗っかってみたら、私の背後で物凄い黒いオーラを放ち微笑んでいる美女が立っていた。私はその美女を認識した瞬間頰を引きつるように苦笑を浮かべるしか出来ない。
その美女こそ私の最愛の人であり、この娘達のもう1人の母親でもある西園寺
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