事件簿2 神の消しゴム事件

 神であっても事務仕事はある。


 様々で複数の世界の管理には、一定のメンテナンスが必要だからだ。


 しかし、その過程で大量の書類を整理する必要が生じる。


 中には、問題がその世界の住民の手に余ることがある。


 そんな時に、問題の原因と現状を変えるために必要なのが“神の消しゴム”である。


 あったことをなかったことにする。


 そんな筆記用具だ。


 あるとき、その“神の消しゴム”が使いやすくなったという宣伝につられて、ともえ様はその新品を購入した。


 最初は、何もない紙に線を引いて消していたが、どうにも消し具合が分からない。


 たまたまそこにあった文字列を消して見ると、今までよりも滑りが良いなどしっくりくる。


 廃棄予定の紙も消してみた。


 結構たくさん試してみた。



 そう、世界の情報…世界が存続するべき情報などが真っさら。


 消しゴムで世界を消してしまったのだ。



 *

 消しゴム、使いやすかったのに、また前のを使えって言われた。

 でも安心。

 1ダースは隠してあるから。

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