ともえ様の事件簿

空のかけら

事件簿1 勇者喪失事件

 あれは、魔王によって蹂躙されていた世界のことだ。


 そこに住む人たちは、その魔王によって滅ぼされそうになっていた。



 神々は、基本的に世界を作ったあとは放置がほとんど。


 一々管理していない。


 そんなにマメな(?)神さまは、いない…いないのだが、たまに引っかき回す神はいる。


 ともえ様は、その代表格だ。



 とある日、この惨状に心を痛めていた神に、ともえ様は言った。



   “異世界から勇者を呼びましょう”



 あとから考えれば、それは悪魔のささやきだった。


 来た異世界からの勇者は、性格に問題があった。


 一向に動こうとしない勇者に業を煮やしたともえ様は単身その者に問うた。


 なぜ、魔王を討伐しないのか…と。


 面倒くさいという回答が返ってきた瞬間、ともえ様渾身の天罰。


 勇者は消滅。


 世界は、魔王を滅することができなくなり、ほどなくして、住む人々は滅ぼされたという。



 *

 何よ。私が悪いの?

 引き当てた勇者が悪いのよ。

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