第9話「私たちの未来」
「千尋、私はやっと恋を理解したよ。千尋が好き。だからホントの意味で付き合って欲しい」
伝えた。伝えてしまった。初めて抱いた、私の恋心。それを教えてくれた、大切な人へと。
対して千尋は、私の告白に動揺しているようだった。さっきまで冷静に私を諌めていたのに今となっては立場が逆転だ。そうしている様子もまた、好きだなと実感する。
「返事は後でもいい。急に呼び出してごめん。でも、気持ちが分かったら、こんなに凄いものなんだって、すぐに伝えたかったから」
だいぶ心が落ち着き、言葉が比較的するすると流れるようになる。伝えたいことを伝えられた、そんなスッキリした気分とは裏腹に、心はまだザワついているのが分かる。答えを知りたい。今すぐに、その口から聞きたいと、胸が騒いでいる。でも、今は我慢。待つんだと、言い聞かせる。
「そっか、一美ちゃん変われたんだね。良かった。それに嬉しい。ありがとうね、私を好きになってくれて」
千尋のその一言一言がもどかしい。そんな感想を求めているわけじゃない。私は、返事が欲しい。そんな逸る気持ちを知ってか、千尋はすぐに言葉を続ける。
「私も変わらないといけないね。一美ちゃんとなら、それも出来ると思う」
そう言うと、私の目をまっすぐ見直して、笑顔を綻ばせる。
「未来の話をしようか。明るい、私達の結ばれた未来の話」
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