パンダルー・ロア~転生したら心も体も悪魔でした~
よりとも
花の都
第1話 プロローグ
瞼越しからでも忌々しいほどに眩しく主張する太陽を感じながら目を開く。
すると目の前には赤、緑、黄、ピンクとセンスの悪い色の花が咲き誇る花畑だった。
そして手には訳のわからない文字で書かれた洋書が一冊あった。
なぜこんなものを持っているのだろうとページをめくるが端から端まで文字でうめつくされていて挿し絵などは一切なかった。
恐らく日本にいたときにみた様々な外国語にも当てはまらないものだろう。
つまり......つまりどういうことだ?
こんな気味の悪い場所に自分から来たとも思えない、誰かに誘拐でもされたか?
だが見渡す限り気色悪い花しかないこの場所からは何の情報も得ることができない。
すると右手側にある背が高い花畑から人の話声が聞こえてくる。
少しずつ近づいてみるが案の定意味のわからない言語だったが、ボディランゲージで出来ることもあるだろうし、言葉は最悪教えてもらえばいい。
すると、話していた男女の内の男の方が何かに気がついたようにこちら側を注視する。
男は腰から鉈のようなものを引き抜いてこちらに近づいてくる。
武器を構えられているが、ここで変に逃げてもいいことはないだろう。
だからここで相手を刺激せずに来るのを待つべきだ。待つのはいいのだが、それにしてもお腹が減った。何か食料を分けてくれればいいのだが。
そして目の前の花が掻き分けられ、二人組と目が合う。
俺の方が身長が高いから上から見下ろす形になっているので男は首を大きく上げて上を見る。上を見すぎたのか尻を地面に着けてしまったようだ。
腹が減った
起こしてあげようと手を伸ばす。
男はアワアワとこちらを見ている。女は顔を真っ青にして腰を抜かしている。
男に触れると男から黒い靄が現れてからだの中に吸い込まれていく。
すると男の顔が真っ青だったものから土気色に変わり、白目を剥いて倒れる。
「ΨΡΨΛΠΣΥθ!!」
女は甲高い悲鳴を上げると男を置いて一目散に逃げていった。
このまま逃げられては困るので追いかけて女を捕まえて生気を吸う。
これで腹が満たされた。
そしてようやくここが異世界だと理解した。
謎の言語、謎の能力、謎の場所。そしてなにより、女の瞳に映った自分の姿は形容しがたいが端的に言えば悪魔だったからだ。
やはり最初から違う種族の手を借りるのは難しかったようだ。
同胞を探すとしよう。
まあそれもまだまだペコペコの腹を満たしてからのことだ。
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