第3話

「知恵」






 何の前触れもなく引きこもり始めた京子を、両親は心配していた。特に母親は善良そのもののような性格で、困っている人には手を差し出さずにはいられなかった。部屋で黙々と勉強し続ける娘を何とかして助けたかった。


 しかし京子は、そんな母親を信頼していたが相談することは出来なかった。

 いや、尊敬し信じているからこそ自分の内に抱える邪悪な感情に幻滅されたくなかった。同時に一人で抱えられる程には達観も出来ない、まだ10代の子どもだった。




 京子は母に「学校という空間に自分は異質な気がする。」と核心は隠しつつ相談した。

 母は娘の賢さが周りから浮いてしまうのかもと考えて、「同じような仲間や友達を探してみたら?学校以外にも色んな人はいる。」とアドバイスする。




 京子は、自分のような奴がいるものか、と思いつつも試しにインターネットで検索してみると、偶然闇サイトを見付ける。そこでは京子のような特殊な性癖を持った人々が集っていた。10代の京子にはあまりにも刺激が強い反面、自分だけじゃないことに安堵し自然と涙がこぼれた。京子は闇サイトにのめり込んでいった。


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