第42話 7階層のボスドロップとカード

 俺達は7階層のボス戦に勝利した。

 3人での戦闘は、初回にもかかわらず息が合っていたと思う


 俺の受けたダメージは、ボルツの革鎧のお陰で大した事がなかった。

 セレーネもサクラもノーダメージで済んだ。


 範囲攻撃が出来る魔法使いがいれば、ダンジョンバットを一気に掃討出来るのでもっと早く戦闘は終わっていただろう。

 

 けれどないものねだりをしても仕方がない。

 現有戦力では、合格点と言って良い戦闘だ。

 3人ともテンションが、上がっている。


 俺は笑いながら、サクラに語り掛ける。


「サクラ、あの必殺技はなんだよ?」


 最後にサクラが、放ったボスに炸裂した技。

 上空から加速して叩きつけるパンチは強烈だった。

 サクラも上機嫌で返事をしてくる。


「ふふ。だって~、やってみたいじゃないですか!」


「でも、技の名前変えろよ」


「えー、じゃあ、メリケンボルト!」


「もう、一声!」


「うーん、メリケンドライバー!」


「それで決まりな」


 サクラの必殺技は、メリケンドライバーになった。

 意味は良く分からないが、本人が気に入ってるみたいだから良いや。


 俺達は、床に落ちたダンジョンバットの回収を始めた。

 ダンジョンバットは、かなりの数が床に落ちている。

 魔石しか売れないが、マジックバッグがあるので、一応持って行こう。


 まだ、息のあるのがいた。

 剣でトドメを刺し、マジックバックにしまう。


 俺は、戦闘中に斬り落としたジャイアントバットの翼を、マジックバックにしまった。

 そして、頭部がグチャグチャになったボス、ジャイアントバットに近づく。


 これだけグチャグチャになると、頭部は売ろうにも、売れないだろうな。

 サクラに売れる部位を確認する。


「なあ、ジャイアントバットは、どこが売れるのかな?」


「魔石と翼ですね。翼は撥水(はっすい)性があるので、雨具に使われるそうです」


 この翼は、水を弾くのか。

 サクラは、良く情報を集めてくれていた。


 でも、メリケンドライバーは、ヒットさせる場所を考えてもらおう。

 必殺技過ぎる上に、オーバーキルが過ぎる。

 魔物の素材が傷んでしまって、売れなくなっても困る。


「あ! 宝箱がある!」


 俺はジャイアントバットの脇に、宝箱が置かれているのに気が付いた。

 セレーネとサクラが、駆け寄って来る。


「凄~い! また、宝箱だね!」


「これは、ボスドロップですね。出る時と、出ない時が、あるらしいですが、一発で出ましたね!」


 俺は、【ドロップ率上昇(小)】と【幸運(小)】があるからな。

 ボス戦は、ドロップがあるからスキルと合わさって、オイシイかもしれない。


 宝箱は、うすい茶色の金属製だ。

 衣装ケースぐらいのサイズで、形は前のと同じで、上部がドーム状になっている。


「なあ、サクラ。この宝箱は、銅になるのかな?」


「はい。銅箱ですね! レアのアイテムが入っています」


 中身が、当たり、だと嬉しいな。

 使えるアイテムが出ますよに!


「開けるぞ!」


 セレーネとサクラも注目する。

 俺は、ドロップした宝箱、銅箱の蓋を開けた。


 銅箱の中に、折りたたんだ布が入っていた。

 パっと見、ホームセンターで売っているカーテンみたいだ。

 手に取って見ると、ズシリと重い。


「布? カーテン?」


「……なんでしょうね」


「ヒロト~、鑑定してみてよ~」


 俺は、布を鑑定してみた。



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 ジャイアントバットのテント(自動設営、自動折り畳み、撥水、魔物除け)


 -------------------



「テントか! ジャイアントバットのテントだって」


「あー! テントね!」

「野営で使えますね!」


 そうだな。

 泊まりで探索する時に使える。


「機能は、自動設営、自動折り畳み、撥水、魔物除けだって。ちょっと使ってみようか……」


 俺は宝箱から、折り畳んだ布を取り出した。

 これがテントになるなんて、ちょっと想像しずらい。

 機能で自動設営があるみたいだけれど、ボタンは付いてない。


 俺は、設営するように布に向かって念じてみた。

 布が光り輝き、一瞬で展開してかなり大き目のテントが設営された。


 いや、これは、テントと言うよりは、布張りの仮設住宅だ。

 三角形のテントではなくて、立派な布製の建物が目の前にある。

 高さは俺の身長より高い、2メートルくらいありそうだ。


 セレーネがテントの入り口から、中に入る。


「これ良いね~。高さがあるから、テントの中も立ったまま動けるよ。」


 サクラと俺も、続いてテントに入った。


「簡単にですけれど、部屋割りされていますね。」


 入り口から入ると、真ん中に10畳程の大きな部屋が一つ。

 そして、その左右に3畳ほどの小部屋が2つづつ。


 部屋と部屋の間は、布で仕切られている。

 合計5部屋の、大きなテントだった。


 これならパーティーの人数が増えても使える。

 部屋数が多いので、男女を別の部屋に出来るのも良い。


「このテントは良いね! これは売らないで、取って置こうか?」


「そうだね~」

「賛成です。ドロップは、当たりでしたね!」


 いや、ホント。

 当たりで良かった!


 俺達は、テントの中でちょっと休憩をとる事にした。

 水を飲んだり、武器の点検を各々行う。


 さて、俺は、カードの処理をしてしまおう。

 ジャイアントバットやダンジョンバットのカードは、何かな?


 俺はステータスの裏画面をオープンした。

 魔物から得たカードが追加され、寿命が延びている。



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 ◆裏スキル◆

【ゴールド】【カード】


 ◆ステータスカード◆

【HP上昇(小量)】×22new!

【器用上昇(+1)】×40new!

【器用上昇(+5)】×1new!


 ◆ブロンズガチャ獲得カード◆

【攻撃力上昇(10%・1時間)】

【防御力上昇(10%・1時間)】

【回復カード(毒)】



 ◆シルバーガチャカード◆

【前世記憶】【頭脳明晰(中級)】【絶倫(中級)】


 ◆ブロンズガチャ・カード◆

【ややイケメン】【幸運(小)】


 ◆悪魔からのカード◆

【-レベルアップガチャ-】


 ◆寿命◆

 1年3ヶ月1日 ↑up!


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【HP上昇(小量)】は、サクラが仕留めたダンジョンボア。

【器用上昇(+1)】は、ダンジョンバット。

【器用上昇(+5)】は、ボスのジャイアントバットだな。


【HP上昇(小量)】を試しに1枚消費してみると、HPが0.1上昇した。

 魔物から得たカードを全部消化してステータスを上昇させる。

 HPが2.2、器用が45上昇だ。


 ステータスを確認する。

 レベルは相変わらず1で変化なし。

 HPと器用は、カードで上昇した。


 ジャイアントバットの体当たりのせいで、HPは-1状態だ。

 これは自然回復するだろう。



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 ◆基本ステータス◆


 名前:ヒロト

 年齢:12才

 性別:男

 種族:人族

 ジョブ:シーフ


 LV: 1

 HP: 23.25/24.25 up↑

 MP: 10

 パワー:11.02

 持久力:11.52

 素早さ:11.9 (15.47)+30%↑by job

 魔力: 10

 知力: 80

 器用: 55 up↑


 ◆スキル◆

【鑑定(上級)】【マッピング】

【剣術(初級)】【罠作成】

【忍び足】【ドロップ率上昇(小)】

【夜目】【パーティー編成】

【宝箱探知】【隠し部屋探知】

【神速】


 ◆装備◆

 ボルツ製革の鎧(オーガ) 防御力+38

 コルセア製ショートソード(ブルースチール) 攻撃力+150


 ◆アイテム◆

 マジックバッグ


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 さて……。


 寿命が増えたな。


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