【1回裏】1球目

不二家の三女として産まれた私は、残念なことに生まれつきの慢性の便秘でお医者様から毎日ビタミンCをとるように言われて、母から毎日みかんを食べさせられることとなる。(今では慢性便秘が嘘のように毎日元気に快便である。)また、母は大変極端なところがあり(私もあるのだが)1つのことをやるように言われるとそれをとにかく極端にやるところがある。つまりさじ加減を知らない。その結果、毎日みかんを食べさせられた私は、大変残念なことに1年後にみかんが食べられなくなった。ちなみに今でも食べられない。匂いに対しても敏感で、中学生の帰宅時に両親が食べ終わっているにも関わらず、少し前にみかんを食べたことを気づけるくらいみかんに対する嗅覚が発達している。


また、家にエアコンが1台もなかった不二家に驚いた母は、私を連れて近所のお宅にお邪魔して涼ませてもらうことをしていた。(なんと恥知らずな!)途中から母の強引な交渉により、一家にエアコンが導入されたのは、母の強引さもあるだろう。(それにしてもなぜなかった、エアコンよ。。)


私が3歳の時に父方の祖母が心筋梗塞で倒れた。祖母は叔母や父を女で1つで育てたあとは、タバコを吸い、パチンコを嗜むという日課を送っていた。私のほっぺたの肉が多いのは祖母譲りであり、私の頭が変形しているのは、祖母が私を玄関で抱っこしている中、落としたからである。(勘弁してくれ。)話が逸れてしまったが、祖母が倒れた話である。祖母はなかなかのツワモノで、心筋梗塞で倒れたものの、詳しくはよくわからないのだが、3本のうちの2本はダメになったが1本が生きていた為、命を落とさずに済んだようだ。次に倒れたらその際は難しいと言われ、残り半年と余命宣告された祖母は「だったら好きなものを食べてやる!」と宣言して好き勝手し、寝たきり生活ではあったが、そこから7年生き延びることになる。


祖母が寝たきり生活になってから、私はあまり祖母の部屋には入ってはいけないという暗黙のルールが母との間にあった。(今思えばなぜ。)祖母は完全に隔離されており、私の誕生日やクリスマスなど特別な日のみ食卓にも登場する。ただ、祖母の部屋は近所の茶飲み友達がほぼ毎日訪れており、話し相手になっていた。


暗黙な変なルールといえば、私はなぜか1階の洋式のトイレは使ってはいけなくて、2階の和式のトイレを使うことになっていた。確か理由は祖母がお風呂に入れない身体で座るトイレで汚いからという理由だった気がする。(家族なのにどういうこと・・

。)


そんな祖母も私が小学3年生の時にトイレに夜中たった際にトイレのドアを開けた状態で再度倒れ、そのまま他界した。

家を新築するまで、祖母の部屋はそのまま客間に代わり、時には私の休憩部屋となったのである。

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