第34話 本番直前

 座ったまま抱き合っていた状態を解消し、菘はベッドに仰向けになった。

 形のいい胸が荒い呼吸で何度も上下する。すぐにでも触りたいけれど、欲求を抑えてブレザーのボタンに手をかけた。


「脱がせるからな」

「……うん」


 上気した顔で菘は頷く。

 承諾も得たので、ボタンを一つ一つ丁寧に外す。次にニットでできたカーディガンも同じように。ここまでは肌が露見することはない。

 緊張するのは、この後からだ。

 男子のそれとは素材が異なるワイシャツ。水に濡れても下着が透けにくいものになっているらしい。

 スカートの中に入っているシャツの裾を引っ張り出してから、プチプチと、なんとなく下からボタンを外していく。ついでにスカート横にあるジッパーも降ろしておいた。

 ボタンを外すたびに菘の白い柔肌が露わになる。

 

「これは涼に見せる用であって、普段はこんなやらしい下着じゃないから……」


 このボタンを外せばというところで、腕で胸を隠しながら菘は弁明した。

 

「見せる用なら、隠さないでほしいな」

「……うぅ。涼、意外とSよね」

「これぐらい普通だろ」


 菘が手をどけると、レースがあしらわれた黒のブラが目に入った。

 そして、同時に菘が思わず隠してしまった理由も判明する。


「……透けてるけど」


 胸を覆うべき半球部分の生地が意図的に薄く作られているようで、桜色の乳首が見えてしまっている。

 なるほど、これは普段着ないわ。

 しかし、今になって思えば、菘の胸は生で見たことはあるものの、こうしてブラジャー越しでは初めてだ。どう考えても順序がおかしい。

 すぐにブラを外してもよかったのだが、せっかくこんな下着をつけてくれているのだからと、そのまま手を伸ばした。

 布越しだというのに、その柔らかさは変わらない。きっと、生地が薄すぎるのだ。


「これ、ブラの意味なしてるのか?」

「全然。全く支えきれないもの」

「つまり、見た目がエロいだけ?」

「……そうね」


 恥ずかし気にそっぽを向く菘。

 ブラの見た目云々よりも、視覚的な興奮を煽るためだけにこれを着用して俺に見せようと考えた菘のほうがよっぽど官能的だ。

 再度、下着越しに胸を掴む。今度は強めに。形をグニグニと変えるように揉みしだく。


「んっ……ね、ねえ、ブラ外さないの?」

「外さなくても、菘の胸見えてるからな」

「で、でも。布越しに乳首触られるの、なんか変っ……」

「痛いならやめるけど」

「……痛くはない」


 なら、とピンク色の突起を指先で弾く。

 その度に菘の身体はピクピクと反応する。

 空いた片方の手をスカートの中に突っ込む。依然としてタイツ越しにも溢れ出る液体を潤滑油に秘部を擦ろうとすると、菘にその手を掴まれた。


「……直接触って?」


 そう言って菘は、俺の手をタイツはもとい、パンツの中まで導いた。

 隔てるものがない状態で触れる菘のそこは、濡れているなんて生易しいものではなかった。洪水、そう呼ぶのが相応しい。まだ触れてもいないのに、熱気と湿り気が感じられる。

 止めどなく噴出する愛液を指で掬い、パンツの中から手を出した。


「え……?」


 てっきり、秘部に手をかけられると思っていた菘は、驚いたような、残念そうな顔をする。それを尻目に指についた愛液を、ブラ越しに胸へ塗りたくった。


「ひゃっ……、りょ、涼? なに? んんっ……」


 愛液をローション代わりにして、胸を揉むというよりはこねくり回す。

 摩擦を失った手のひらが、何度も乳首をこすり上げる。


「やっ……乳首、ばっかりは……だ、だめ」

「……一応聞くけど、この場合のダメは?」

「………………もっとして?」


 ですよね。

 ご希望通り、執拗に痛そうなまでにに勃起した乳首を虐める。途中、ぬめりが足りなくなったので、また菘の秘部から愛液を拝借する。その度に、菘は切なそうな表情をする。図らずもお預けみたいになっていた。


「はぁ……、んっ、も、もう、むりぃ……」


 菘が口をだらしなく開けたままに、息を荒くする。

 涙で濡れた目を薄く開きながら、菘は手を広げる。


「イクからっ……、ぎゅってして?」


 そのいじらしい願いを直ぐに叶えてやりたくて、俺は菘に飛び込んだ。

 右手は胸に、空いている左腕を菘の身体に回す。菘も快感に耐えるかのように強く俺を抱きしめてくる。

 

「ふっ……ひゃ、くるっ……、もう、んんっ……!」


 菘は宣言した通り限界だったようで、抱き合うとほぼ同時に絶頂した。

 ひとしきり快感の波に身体を委ねていた菘は、しばらく俺をホールドしたままだったけれど、思い立ったようにベッドから身を起こした。

 ボタンだけ外されていた上着類と、ぐちゃぐちゃになってしまったブラを脱ぐ。

 次いでスカートも脱ぎ捨て、タイツにも手をかけた。

 そして、一気にタイツと下着がまとめて降ろされた。

 しかし、その勢いがよすぎた。秘部からパンツが離れる瞬間、ぐちゃ、っと大きな水音。

 

「……聞いた?」


 流石にそこまでの音がするのは想定外だったのか、菘は肩を震わせながら確認してくる。

 

「すごい音だったな」

「もうっ……。涼が悪いのよ。全然触ってくれないから……。じらされたら、こうもなるわよ。だから、ね?」


 菘は再度ベッドに倒れこむ。そして、俺に見せつけるように大きく脚を開いた。

 タイツも下着も、ましてやモザイクもない菘の大事なところ。それが今、目の前ある。

 今もなお溢れ出る愛液で濡れ光っている左右の花弁も、ヒクヒクと誘うように収縮を繰り返す粘膜も、全てが惜しげもなく晒されている。

 極めつけに、菘は自らの陰唇に手を伸ばし、その入口が見えるように開いた。


「触らなくてもいいから、早くましょう?」




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後書き


本当は余韻もへったくれもないので後書きとか書きたくないのですが、必要なのでお目汚し失礼します。

お伝えしたいことは一つだけです。この先、性行為本番が始まるのですが、それをカクヨムに投稿するのは流石にどうかと思いまして、ノクターンノベルズ(小説家になろうのR18版サイト)に続きを投稿します。

本編とはもはや関係のない、ただセックスしてるだけのお話なので、読まなかったからといって本筋を追えなくなるわけではありませんので、興味のある方はぜひご覧になっていただければ幸いです。7000文字と謎にボリュームがあります。

リンクはR18サイトなので掲載できません。

ノクターンノベルズにて、本タイトル「玉砕から始まる共同生活。」と検索していただければヒットするかと思いますのでよろしくお願いします。今後もノクターンノベルズにはスケベな話を投稿する予定なので是非ブックマーク?みたいなのをしてもらえると嬉しいです。

それでは、失礼します。

いい加減埴輪ちゃんの話も進めます。ごめんなさい!

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