第42話 孤独


 朝、眠りから覚めて時計を確認した。合否の結果が届いていてもおかしくない時間。案の定、僕のメールボックスには合格通知があり、内心ホッとしつつ、虚しさが込み上げてくる。


 普通ならば合格してしまったがために別れなければならないという気持ちと、合格した嬉しさが入り混じった状態で別れを味わうはずだった。


「なんか、寂しいな」


 咳をしても1人、か。折本も朝から出かけていて、見送る人といったら先生方くらいだろうか。


 もともと少ない荷物をまとめるのはすぐに終わり、先生方に見送られて園を出た。




***




 園から20分くらい歩いてやっと着いた。これからお世話になる家。ワンルームアパートの2階。児童園の部屋よりは狭いが、1人になった分広く感じる。


 哀愁が漂う部屋に荷物を並べていく。微かな物音が僕の心を窮屈にしていく。切り替えなきゃいけなのだろう。周りが変わったんだから僕も変わらないと。


 そういう生き方をしていかないと置いて行かれる。ただでさえも余裕ないんだから、これ以上差がつかないようにすべきだ。


 明日は卒業式。泣くも笑うも僕の勝手だし、相手の勝手だ。だけど、結果がどうであれ、僕は進まなきゃいけない。『have to』が多い世界。


 部屋を整理していた手はいつのまにか止まっていて、一点を見つめてぼんやりとしていた。フローリングの冷たさが体に伝わって我に返った。


「はぁ……」


 ため息をしても1人。

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