ある朝、わたしは 小説「放課後も君を愛せれば」より

 黒い革のローファー。


 アスファルトに休まず靴音を刻む。



 露出している頬が冷気に犯されてからの十数分間、わたしは無言だ。



 ガードレールに隔たれた境界線。


 社会人と学生服。



 嫌だ、嫌だ。



 この先は見えている。


 どうせ、つまらない日々の繰り返しなんだ。



「エンドレス」



 そうつぶやいて、苦笑い。



 白い吐息が一瞬で消えた。







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