Episode6-D 犠牲者

 ナオミの同級生・ジンコは、皆の嫌われ者でありストレスの元であった。

 我儘で激しい気性、声も体も大きく乱暴者の彼女は、同級生皆だけでなく母親たちにまで嫌がられていた。

 ナオミの母親も言っていた。

「ド田舎の小学校だし、子供の数自体が少ないのは分かっているわ。でも、あの子とだけは仲良くしてほしくないの。いつか確実に”大問題”を起こして、ここにいられなくなるような子だと思うから」

 逆に言えば、誰かが犠牲にならないとジンコはいなくならないということだ。


 そんなある日、ナオミは友達のチカちゃんと一緒に下校していた。案の定というべきか、そこにジンコがグイグイと割り込んできた。

 ちょうど畦道に差し掛かった時、ついに”それ”は起こった。


「ぎゃあああ!! 蛇だああ!!!」


 足元を横切った蛇に、大絶叫したジンコ。

 我先に逃げようとした彼女はナオミにぶつかった。ドドンッと渾身の体当たりを食らわせるような形で。


 その衝撃にナオミの小さな体が耐えきれたであろうか?

 チカちゃんも悲鳴をあげた。

 バランスを崩したナオミが倒れ込む先に――ちょうどナオミの右の眼球部分にあたる場所――に、天を向いて尖った石が待ち構えていた。



――fin――

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