第6話 ロゼの告白

 ロゼはトイレを済ませるとまた自分でドアを開けて部屋に入って来た。


 僕は不思議だった。

「ロゼ?君の母さんはどこにいるの?」


 ロゼは悲しそうな目をしてこう言った。

「知らないよ。僕は生まれてすぐに捨てられていたからね。」

そして、今度は微笑んでこう言った。

「でも、いいんだ。僕には人間の家族がいる。だからさみしくないし、楽しく暮らせている。」


 「じゃあ、君はずっとこの家にいるつもりなんだね。だからドアを自分で開けれて外へ出られてもここに帰って来るんだ。君は決めているんだね。」

僕がこう言うとロゼは

「君は決めていないんだね。」と言った。


 そうだ僕は決められないでいる。

 山の中にいる家族のところへ帰ろうか、それともここで人間と暮らそうか。


 「ここで暮らすなら子孫は残せないよ。僕は動物病院で子どもができないように手術を受けさせられた。君もそうなるかもしれない。」


  僕はショックを受けて言葉が出なかった。

 僕たちカラスは子孫を残すことが生きることだから。

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