第3話 人間の家族

 僕はおじいちゃんという老人の人間の家に泊まることになった。

 おじいちゃんの家の隣の家には、僕を見つけて車に乗せてくれた家族、お父さんとお母さんとその子どもの羅奈らな、それからロゼというオス犬が住んでいた。


みんな僕にとても親切で食べるものも美味しいものばかりだ。

羅奈は僕をクロちゃんと呼んだ。そしたら人間たちはみんな僕をクロちゃんて呼ぶようになった。

僕は嬉しかったから

「カァー、カァー!」って鳴いた。


 僕はみるみると翼の調子が良くなって広げてみるだけで、身体がフワリと持ち上がる。


 でも飛ばない。


 飛んだら僕は帰らなきゃいけないんだ。

きっと母さんが待っている。父さんも兄弟も待っている。僕は巣立ちをする時は来ていたけれど、でも飛ばない。


ここでの人間の生活が楽しかったんだ。

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