その顔を
ナルミ
第1話その顔を
君は見たのかその人を
本当に見たのかその時を
燃え輝くよなあの顔を
恐ろしく光るあのまなこ
捕らえられたら無理だろう
打ち明けるなんて無理だろう
だからその口は偽りさ
飾りにだってなりゃしない
恐怖も秘密もありゃしない
それじゃあ心を盗めやしない
散歩の途中で見た光
避ければよかった水溜り
目にも足にもしみる折
去りゆく猫の言う通り
どこかで見たよな 夢の中
決して入れぬ 蚊帳の外
僕は見たんだ暮れ時に
本当に見たんだ赤い日に
君も見たのかあの狗を
僕も見たんだあの狗だ
そうだそうだそうなんだ
全てあいつ所為なんだ
滲む傷口 浮いた青痣
まだ痛むうちに見つけよう
忘れる前にこらしめよう
目だって歯だって何だって
堂々平等正当に
そしてすっきり忘れよう
祈りの途中で解いた手
誰より長く吐いた息
誰かを巻き込み渦巻く煙
やたらに残る哀しい香り
病まず乱れず生きようか
そんなの誰が知ったことか
そうかだから現れたのか
見せかけだけの境界越えて
僕は見たんだあなたごと
あなた見たんだ僕のこと
さらわれてった 過ぎた日は
壊れていった計画は
残されたのは何なのか
貴方は僕の何なのか
僕は何を盗まれたのか
問は虚しく僕は忘れゆく
そしてまた結びつく
そしてまた
(2015年12月)
その顔を ナルミ @Narumi_Hatarake
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます