真の現

ナルミ

真の現

解けないはずの雪がとけ

忘れたはずの春が来る

暑さ溶かしたラムネ瓶

挿すは冷たく白い花


君は誰かと遠くへ行った

真実の範囲 どうだっていい

寂しいけれど 恋しくはない

振り返っても 追いかけはしない

ほとんど捨てたが 少しは残す

残念ながら私は君だ

理由は多分そういうことだ


伸びゆく緑はまことうつつ

花咲かずとも離れはしない

花も香りも夢か幻 まやかし 塊

実り無き胴欲


頭は私に易しくできてる

辛くあたれと思う日もある

夢に出てきた それだけ覚えて

何をしてたか 思い出せない

目覚めはしてるが 何処かは寝てる

有難いかな不肖の魂

線路は続くよ そうまでしても


晴れないはずの霧が晴れ

開けた景色に覚えなく

ずっと見ていたはずなのに

ここがそこかも判らない

欲しかったのに手に馴染まない

同じ筈なのに何かが違う

言い訳の権利残っていない

頷かなければ何にもなれない

ならなくたっていいかもしれない


忘れられない人の中

忘れてしまった人がいる

憎んだはずのその笑顔

向けてくれるな甘い目を

今より少し遠い所に

佇む私を羨んでいる


綺麗に閉じた厚い本

しつけた花の名は知らぬまま


(2016年4月)

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真の現 ナルミ @Narumi_Hatarake

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